コラム 樹海

 ジェツリーナ(ノロエステ線)のラジオ体操会が十周年を迎え、さきごろ記念祭を挙行した。同会は会員二十五人、うち非日系人が半数強。浸透ぶりがうかがえる▼記念祭では、日頃集会に貢献している二人に記念品を贈り、労をねぎらったという。一人は日系人男性で、毎朝風雨も厭わず音響機を携え準備、もう一人は非日系人女性で会員の出席簿点検担当だった。両人とも皆勤に近いくらい精勤しなければ、縁の下の力持ち的な仕事はできなかったはずだ▼二人の熱心さを、四百数十キロ離れた遠隔のサンパウロで目に浮かべることができる。毎朝のラジオ体操はこうした人たちの尽力がなければ成立しない。全伯にあるほかのグループも同様であろう▼ジェツーナから、十周年祭の便りをくれた藤田準之助さんは、一人の〃恩人〃を捜し求めていた。十年前、体操会発足のタネを蒔いてくれた穂積サト子さんである。穂積さんがジェツリーナの親戚を訪ねた際、ラジオ体操のテープを日系人有志に贈り、体操の手ほどきをしたのである▼体操会は、十周年を祝うにあたり、穂積さんを招こうとした。しかし、どうしても所在がわからず、連絡がつかなかった。藤田さんは「あなたが蒔かれた一粒の善意が、いかに私たちの健康に役立っているか、計り知れません」と、招待できなかったことを詫びながら、感謝している。藤田さんの住所は Junnosuke Fujita CP 142  16450―000 Getulina SP である。穂積さんは健在だろうか。

04/08/20