アマゾンに校友130人集合=東農大パンアメリカ大会=7回目農業の将来再考

8月24日(火)

 第七回東京農業大学校友会パンアメリカ・アマゾン大会が十九日から二十一日までの三日間、パラー州ベレン市のヒルトン・ホテルで開催された。ブラジル農大会北伯分会アマゾン大会実行委員会(上杉嘉幸分会長)が主催。今大会には松田藤四郎同農大理事長、進士五十八学長をはじめ日本から五十二人、カナダ十人、アメリカ十人、メキシコ二人、アルゼンチン四人、パラグアイ七人、そしてブラジルから五十四人の総勢百三十九人が参加した。

 大会一日目は歓迎夕食会、二日目は大会開会式、日系団体、州関係者や青柳興政ベレン総領事を招待しての講演会、アマゾン河水上観光、そして夕食懇談会と続いた。三日目は二班に分かれて、トメアスー移住地とベレン市内・近郊へツアー。最後にお別れ夕食会が行われ、サンバショーを堪能、大会は大成功のうちに閉会した。また二年後の第八回大会開催地は米国のサンフランシスコ市に決まった。
 松田理事長は講演会で、「エコ・エコ・ファーミング」をテーマに、「六五年以降加速度的に、アマゾン開発が行われており、〝地球の肺〟アマゾンの自然破壊が進んできている。しかしアマゾンの農業を支えているのは、農家であり、工夫をこらして農薬や化学肥料を減らし、有機農業で環境に優しい、生産性の高いファーム造りが必要である」と述べた。
 また三回目の来伯となった進士学長は〝農〟の多面化について、「二十一世紀は都市の農村化が必要であり、その例として六本木ヒルズの屋上ではたんぼを造って、都市と〝農〟のバランスを試みている。また楽農や遊農など百姓仕事が楽しくて、最もかっこよい仕事でなければならない」と語った。
 プリゾバル・パラー州環境・科学技術局長官は「パラー州は自然環境保全やインジオ保護などに対して、最大限の保護区を確保している。また衛星観測などの先端技術を駆使して監視している」と述べた。
 松田理事長は講演後、「今までの大会の中で最高の大会になった。一度は行ってみたいと思っていたアマゾンに、三十時間かけて来たかいがあった」
 上杉北伯分会長は「九十人分の部屋を予約し、それほど来ないのではないかと心配していたが、地元以外から百三十人以上が参加してくれた。四十年ぶりの再会も多くあり、みんな喜んでくれました」と胸をなでおろした。
 トカンチンス州アラグアセーマ市で七年間畜産をしていたが、カナダ人宣教師と結婚、カナダに再移住しトロント近郊で果樹栽培をしている斎藤秀一さんは、「やっぱりブラジル人の陽気さ、人懐っこいところが大好き。この遊覧船に乗っていると重さが六十キロもある大ナマズのフィリョテを三十分かけて釣り上げた楽しい思い出などいろいろ思い出した」と、今でもよく覚えているポルトガル語を交えて語った。
 四十年前にアルゼンチン、パラグアイ、ブラジルで一年三カ月実習した梶田健さんは、「四十年ぶりに会った学友は頭が薄く、顔かたちは変わっているが、耳の底に残っている聞き憶えのある声でだれであるかわかった。学友と学生時代と同じ会話ができたことに、感動した」
 地元パラー州サンタ・イザベル市で九〇年から自然保護のために植林活動をボランティアでしている自称〝アマゾンの百姓〟の長坂優アマゾニア森林保護植林協会会長は、「定年と決めていた五十歳の時に、日本から母と兄を呼んで六百ヘクタールの牧場を見せた。その時に今まで気がつかなかった熱風を肌に感じた。しかし開拓当時は原生林ばっかりで、ひんやりと気持ちよかった」「自分は今まで自然破壊をしてきたのかと、悲しくなって自責の念に駆られた。そこで罪滅ぼしにアマゾンの森林保護に植林を始めた。九四年からは毎年二回、日本の公民館や中高校などで植林運動の講演活動をしている」。