先人の労に感謝「晴れの日」祝う=北海道、福井出身者が節目の式典=母県の副知事ら迎え=道産子移住85年 協会65年=福井文化協会は半世紀



8月31日(火)

 晴れの日迎えた北海道協会と福井文化協会――。創設六十五周年のブラジル北海道協会と創設五十周年のブラジル福井文化協会は二十九日、それぞれ記念式典を実施。先人たちの足跡に改めて感謝すると同時に、新たな前進に向け会員らが一致団結し、これまで以上に活動に尽力することを誓い合った。
 ブラジル北海道協会(谷口出穂会長)は二十九日、「北海道人ブラジル移住八十五周年、ブラジル北海道協会創立六十五周年記念式典・祝賀会」をブラジル北海道交流センターで行ない、約四百五十人の北海道人がお祝いに駆けつけた。
 石田仁宏サンパウロ日本国総領事らが来賓として招かれ、日本からも吉澤慶信副知事、神戸典臣議会議長夫妻、伊藤義郎北海道商工会議所連合会名誉会頭ら式典慶祝訪問団三十六人が出席した。
 日伯両国国家斉唱で式典が開会。谷口会長の挨拶、来賓祝辞が続いた。谷口会長は先人の苦労に触れ、「この八十五年は二百年にも三百年にも匹敵されるのではないかと思います。今、私共がぬくぬくと暮らせるのは先人のお陰であることを肝に銘じなければなりません」となどと挨拶した。
 また各表彰が行なわれ、一九七九年二月から二〇〇三年一月まで札幌駐在ブラジル連邦共和国名誉領事を務めた伊藤義郎さんに、サンパウロ市議会から功労章が贈られたほか、知事から移住功労者六人と高齢者百十三人が表彰された。
 留学生、技術研修員、青年交流団を代表して石原明子クラウジアさんが謝辞を述べた。「留学・研修制度が北海道の温かい手で今後も継続するよう切に願っております。ブラジルと北海道のかけ橋となるよう頑張ります」などと丁寧に話した。
 出席者全員による万歳三唱で式典が終了し、記念祝賀会に移った。神戸道子議会議長夫人と田辺冨佐子婦人部はまなす会会長による記念ケーキカットが行なわれ、昼食会には郷土料理のちゃんちゃん焼きや三平汁も振る舞われた。
 演芸会では、親善民謡使節団(佐々木基晴団長)が北海道民謡など自慢ののどを披露した。
 初来伯となった吉澤副知事は「北海道から来たことをよろこんでもらえて大変うれしい。ブラジル社会の中で日系人としてさらに大きく活躍していただきたい」と、今後の北海道人に期待を寄せていた。 
 改めて先人の功績をここに感謝します――。福井県文化協会は同日午前十時から、リベルダーデ区の愛知県人会館で創立五十周年を祝う記念式典を開いた。七月に未曾有の水害に見舞われたにも関わらず、母県からは山本雅俊副知事や山本芳男県議会議長ら来賓十人が、アルゼンチンからは同国県人会の北川アルフレッド代表が参加。日伯亜の三国に生きる「福井県人」約二百人が五十年前のちょうどこの日に産声を上げた同協会の大きな節目を祝った。
 一九一三年五月に端を発する同県人のブラジル移住。冒頭、ブラジルの大地に眠る数々の先人の霊に対し、黙祷が捧げられた。
 水害からの復旧作業で陣頭指揮に当たる西川一誠知事の代理で出席した山本副知事は慣れないポルトガル語ながら「ボン・ジア。パラベンス」と心を込めた第一声。「ブラジルの日系社会では数こそ少ないが、福井県人が日々活躍していることをひしひしと感じています」と労をねぎらった。
 山本県議会議長や西山巌サンパウロ総領事館領事ら来賓から祝辞が述べられた後、高齢者と功労者に対する表彰が行われた。
 文化や福祉、教育などでの功績を称える功労者表彰は谷口カシオ・クリチーバ市長ら六人が、高齢者表彰は五十二人が対象。高齢者を代表して山本副知事から「これからも長くお元気で」との祝いの言葉を受けた県人最年長の今沢マキさん(96)は、涙ぐみながら感激を噛み締めていた。
 また、合わせてサンパウロ市から西川知事と山本県議会議長に対するバンデイランテス証の授与式も実施された。
 これまでに送り出された百八十人の研修生・留学生を代表して同県人会青年部長の立山レイナウドさんが「福井県で学んだ技術を文化を次の世代に引き継いでいきたい」と流暢な日本語で挨拶すると、会場から大きな拍手が沸き起こった。
 式典終了後にあった祝賀会ではケーキカットの後、安居喜義県議が乾杯の音頭を取り、県人と来賓らが昼食を楽しみながら交流を深めた。