出稼ぎ最新事情を紹介=CIATE=協力者集めセミナー実施

9月2日(木)

 国外就労者情報援護センター(CIATE、二宮正人理事長)は、八月二十八、二十九の二日間に渡ってサンパウロ市内で「地域コラボラドーレスの集い」を開催した。「出稼ぎに行こうと思っている人、関心のある人に現在の的確な情報を提供し、またコラボラドーレスのレベルアップを図るのが狙い」(CIATEの田尻慶一専務理事)。セミナーには日本から専門家が多数参加したほか、多くが出稼ぎ経験を持つコラボラドーレスによる講演も行われた。コラボラドールとは、CIATEの普及活動を行っているボランティアで、現在サンパウロを中心にミナス、リオ、パラナの各州で十四人が活動をしている。
 二十八日は、コラボラドールなどCIATE関係者ら集まった八十人を対象に、日本の厚生労働省職業安定局外国人雇用対策課長の小川誠さんが「日本における外国人労働者問題の動向と日系人就労者の現状」、ブラジル外務省領事課長のエリオ・ポボアス参事官が「日本におけるブラジル人コミュニティー―現状および展望―」をそれぞれテーマに講演した。
 小川さんは「少子高齢化のため、日本は外国から労働力を導入せざるを得ない。そのため、外国人の雇用が増加傾向にある」と説明したうえで、日系四世の就労ビザ取得問題に関し、非日系外国人労働者への就労ビザ交付の条件と重ねて考えなければならないと論じた。
 二十九日は一般公開の講演会で、約百三十人が参加。立川公共職業安定所の神野敬一職業相談部長が「労働者派遣法の改正および日系人労働者に及ぼす影響」、青森中央学院大学大学院で国際労働法を担当する尾崎正利教授が「産業立地と日系ブラジル人労働者需給―三重県におけるシャープ立地に関して」、JICAシニアボランティアの井上由巳子さんが「ブラジルの子どもたちの教育における日本語の重要性」と題して講演。コラボラドールでは斎藤ミルトンさん、破入マルコスさんが代表して熱弁を振るった。
 斎藤さんのテーマは、「デカセギのアイデンティティについての葛藤及び日本における適合の困難性」。自身のデカセギ経験からこの困難を克服するには「積極的に日本人社会に溶け込むことが重要」と語った。
 「日本で何かを得て帰って来なければもったいない。逆に、日本に行って能力が落ちる人が大半」とは破入さん。加えて、ブラジルでは給与面などに不満があるため、日本への再デカセギを繰り返すと指摘。「ブラジルで働くために日本で働いた経験をどのように生かす」ためにも、「デカセギの労働は単純作業が多いが、作業現場では日本とブラジルの違うところを自分から積極的に学んでいかなければならない」と説いた。
 また、ブラジル人コミュニティーに留まるのではなく、「日本の社会に出て、ブラジルでは体験できないことを体験すべきだ」と強調していた。