サントス厚生ホーム30周年=JICA代表「援協だからできた」

9月14日(火)

 サントス厚生ホーム(斉藤伸一ホーム長)が今年七月、開設三十周年を迎えた。記念式典が今月十二日午前十時から同市の施設で開かれ、同ホームを運営するサンパウロ日伯援護協会(和井武一会長)の関係者ら百人以上が出席した。日本財団(曽野綾子会長)が、家具類を新調するために六百万円を援助。大野修一常務理事らが祝福のため来伯した。吉村純氏(海外日系人協会)も訪れた。
 当日は雨天だったにもかかわらず、厚生ホームの節目の年を祝おうと多くの人が施設に足を運んだ。
 遠藤浩経営副委員長(サントス日本人会会長)が「当ホームは、JICAから移民の家の無償譲渡を受け、老人ホームに活用。サンパウロの援協厚生ホームがここに移ってきました。コロニアの有志や地元の方の援助で、今日があります」と開会あいさつ。出席者全員で、先没者たちを追悼した。
 和井会長は「厚生ホームは、交通の便がよいところに立地しています。九十歳以上の人が十人も入居しており、住みやすい環境にあります」と述べた。
 続いて、青木實経営委員長が「オープン当初は九〇%の赤字で、援協に全額援助してもらいました。当時は、男性の入所者が目立っていましたが、一九八五年ごろから女性の姿も目立つようになりました」などと、かいつまんで三十年のあゆみを紹介した。
 施設の運営に貢献した二十六個人・企業などに、感謝状が渡された。代表して、上新同日本人会前会長(援協地区委員)が謝辞を述べた。
 JICAの石橋隆介サンパウロ支所次長は「援協のような組織でなければ、このような老人ホームは維持出来きないと思う」と賛辞を送った。
 大野常務理事は「サントス厚生ホームが開所して三年後の七七年に、日本財団は運営資金として一億円を支援しており昔から縁があります。日系人子弟を対象にした奨学金制度も一昨年から始め、日系人支援は大きな柱です」と祝辞を述べた。
 最後に、花柳金龍さんの門下生が日本舞踊を披露し式典に花を添えた。