マラソンで南米大陸横断=浪速女の意地で走破へ=坂本さん「武者震い」=日系移住地巡りも楽しみ=22日サントス海岸を出発

9月21日(火)

 【既報関連】南米大陸横断五千キロ走破を目指し、阪本真理子さん(57、奈良)と、併走者の関根孝二さん(49、埼玉)が二十二日午前八時、ゴールのペルー・リマ市に向けて、サントス市の日本移民ブラジル上陸記念碑前をスタートする。世界で初めてフルマラソン百回完走を達成した坂本さん。北米大陸、オーストリアでの長期マラソンも経験済みだが、今回の行程には険しい山岳が連なり、強盗やゲリラに遭遇する可能性もある。来社した阪本さんは「実は先週、逆コースを下見。大変な悪路に武者ぶるいした。物心ついたときから大阪育ち、浪速女の意地でがんばりたい」と語る。自称ウルトラ・ランナーのプライドにかけても最後まで走り抜く覚悟だ。
 「南米の危険地帯を走ることは諦めていた。でも二年前にフランス人男性が南米を横断したと聞いて、何がなんでも完走したいと思い立った」
 九七年に単独でオーストラリア横断したのを皮切りに、〇二年には北米大陸、翌年には欧州横断に成功。三大陸を走破した女性は世界を見渡しても阪本さんただ一人だ。
 先週、リマからサンパウロまでの逆行程を車で六日間かけ下見。標高四八〇〇メートルの峠では軽い高山病にかかった。ボリビアの沖縄移住地からブラジル国境までの六百キロメートルは未舗装で、車が通る度に砂ぼこりで視界がゼロになる悪路が目立つ。また、強盗、ゲリラに襲われる危険もあり、常に気は抜けない。
 「考えれば胃が痛くなるマラソンですが、日常から離れた土地を走りながら旅をさせてもらっているわたしは極楽者です」
 今回は南米の日系移住地を巡る楽しみもある。スタートのサントス港は、ブラジル移民の第一歩を思い重ね選んだ。その後立ち寄るバウルー、アラサツーバ、アンドラジーナ、カンポ・グランデはいずれも移住者の多い土地だ。そしてコルンバを通り抜け、ボリビアからアンデス山脈を越え、ペルーのリマへ。「先々の日本人会で交流できれば。今から本当に楽しみ」と顔をほころばす
 併走する関根さんは「南米横断は過去の経験の中でも最も危険を伴う旅。でも楽しんで走りたい。タイムを競うわけでないので、五感いっぱいにアンテナを張って、道端の草花観察や、蝶や鳥になった気分で、野山を飛んでみたい」と声を弾ませた。
 これを聞いた坂本さんは「人が働いている時に、自然体でマラソンしている私たちは幸せで、ぜいたくをさせてもらっている。走っている間は何も考えないのですが、一日の終わりにふとそう思う。人生を謳歌していますね」
 ゴールは十二月中旬以降の予定。今回は伴走の関根さんのほか、ペルー人運転手二人、通訳の日系ブラジル人が同行する。
 スポンサーは化粧品のビーバンジョア、ニッケイ新聞社、アルファインテル南米交流東京本社およびサンパウロ支店、ブラジル日本文化協会が後援。