日本経済は好調=商議所講演で岡田氏

9月21日(火)

 十日午後サンパウロ市のホテルで開かれたブラジル・日本商工会議所(田中信会頭)主催の懇親昼食会で、元ブラジル三井物産社長で、ダイキン工業グローバル戦略顧問の岡田茂男氏が「日本経済の現状」について講演した。
 「バブルが弾けて、十年以上海底トンネルをノロノロと走っていたが、今は完全に抜け出して、快晴の下を快調に走っている」と切り出した岡田氏は、〇四年度の大手三百社(金融は除く)の増益予想は二二%で、増収は四・六%が見込まれ、今年は二十八業種すべてが増益となると説明。これは八八年の二十業種増益以来のことだといい、〇五年も六・五%増益、二%の増収予想で好調維持が予想されているが、「日本人は心配性で悲観的なため、いまだに下を向いて歩いている」と分析した。
 〇四年の好調の要因としては▼中国を中心に輸出増大▼アテネ・オリンピックや猛暑によるクーラーやビールが飛ぶように売れた▼アジアの需要拡大によるDVD、薄型テレビ、デジタル・カメラは売上好調▼中国での需要拡大で、産業の米である鉄鋼価格の上昇による利益増▼国内外での設備投資拡大で、工作機械メーカーも好調――などを挙げた。
 さらに、日本企業の〇四年度世界シェアはいま、DVD五〇%、液晶テレビ三三%、半導体二三%、プラズマ・デスプレイ・パネル二〇%、デジタル・カメラ一四%とハイテク産業では大きくリードしている。
 「こんな素晴らしい数字を上げ、しっかりと好調の波に乗った。不良再建やリストラなども一巡し、完全失業率も減少して来た。世界全体の経済は減速傾向にあるが、米国や中国などの主要国の経済は好調を持続しているので、日本国民はもっと楽観的になってよい」
 〇五年度の日本経済は為替が円高の百十円と安定しているが、五%の経済成長率が予想されている。製造業では、海外で生産している企業は続けて円高のメリットを受ける。これにより、二十八業種の二十三業種で増収増益が見込まれるという。
 司会の平田藤義事務局長は「久しぶりに元気の出る話を聞かせていただきました。ブラジル経済も当初の予想よりも成長が見込まれてきた。会員の皆さんにも良薬になったと思います」と締めくくった。