少年20人に1人を検挙=在日ブラジル人=中国押さえ最悪=警察庁発表 上半期377人=不法在留者の増加も顕著=4世の査証問題=総領事館「慎重に対応」

9月24日(金)

  在日ブラジル人少年犯罪が深刻だ。今年上半期に検挙された少年は三百七十七人。日本に住む十五歳~十九歳までのブラジル国籍者は約七千八百人で、およそ二十人に一人が検挙されるという最悪の結果が警察庁の発表で明らかになった。

警察庁は今年上半期だけで、ブラジル人約三千人が検挙されたと発表。これは中国、トルコに次いで三番目の数字で、うち十五歳から十九歳までの少年が三百七十七人を占めた。この結果、少年犯罪に関しては二百七十六人の中国を大きく上回った。
 日本に居住する中国国籍の少年は約一万人と数えられる。この場合、三十六人に対して一人の割合。二十人に一人のブラジル人少年検挙率はこれを大きく上回る数字だ
 ブラジル人の外国人登録者数は二十歳代~四十歳代を中心に年々伸び、昨年末現在で二十七万四千人と前年比一四%増を示している(法務省統計)。これに比例して、ブラジル人不法残留者も顕著だ。今年一月一日現在で四千七百人と、前年比二二%増を記録。不法残留者を最も多く出している国は韓国で、次いで中国、フィリピン、タイ、マレーシア。ブラジルはペルーに次いで九番目。〃ワースト10〃にランクインするのはこれが初めてという。
 日本の外国人不法残留者はこのところ減少傾向にありながら、ブラジル人は逆に目立ち始め、「不名誉な記録となっている」とサンパウロ総領事館の査証担当領事は語る。二十二日記者会見では、「外国人が関わる犯罪が目に付くようになると世論が厳しくなる。犯罪に関わるブラジル人が多い原因については思惑をめぐらすところだが、日本とブラジルの関係にとって決して良いことではない」と指摘、今後ブラジル人からの査証申請には慎重に対応していく考えを示した。

 ブラジル人犯罪と、不法在留者の増加が社会問題化していることを受け、サンパウロ総領事館(石田仁宏総領事)の査証班は二十二日同館多目的ホールで、入国査証取次業務を扱う旅行業社の代表ら七十人を集めて、「日系四世の取り扱い」や「出入国管理及び難民認定法の改正」などについての説明会を開いた。
 総領事館側はまず、旅行社から上がってくる査証取得のための申請書に、社会的身分や居住地、過去の出入国歴などについて欺瞞(ぎまん)が度々見受けられると注意。
 偽装結婚や、四世を三世にごまかすといったケースで、虚偽の記述があった場合、「本人だけでなく、申請を代行した旅行業者にとっても良くない結果となる」とくぎをさした。
 四世問題については、現行法では日系四世、五世や養子でも、未成年かつ未婚で実親の「扶養」を受ける者であれば発給可能だが、総領事館側は「扶養を受けるとは、単に養えば十分というのではなく、管理監督し世の中の道理から道を誤らないよう指導を行なうことも含まれるはず」と、ブラジル人少年犯罪の増加を背景に強い態度を示した。
 そのうえで、「四世にも二、三世同様の査証が発給されるようになれば、当面の問題解決案とも考えられるが、当地だけ解決すれば良しとできる問題ではないだろう」と慎重な構えを見せ、旅行社の関心の的である将来的な四世への査証発給の可能性について明言を避けた。
 入国管理及び難民認定法の改定に関してはまず、不法滞在者対策(〇四年十二月二日から施行)として、不法入国者に対する最高罰金額を三十万円から三百万円に、不法就労助長者は同二百万円から三百万円に、無許可資格外活動者も同二十万円から二百万円にそれぞれ引き上げする。また、上陸拒否期間の見直しや、不法残留者が自ら出頭することによって出国できるようになるという出国命令制度の新設についても説明された。