「現代のさむらいの思い」=―いかに生きるか―二天武道研の岸川さん書く=『SHIN HAGAKURE』(新・葉隠)=初版7000部、ブラジル人対象に

9月29日(水)

 二天武道研究所の岸川ジョージ主宰(41、サンパウロ生まれ)が、このほど、自身の所信を書いた『SHIN HAGAKURE』(新・葉隠――現代のさむらいの思い――)を出版した。出版社はコンラジ社。フェナッキ書店は、去る二十二日、サンパウロ市内で出版記念会を主催した。岸川さんは、二十四日午後「本は、剣術の技術書ではない。いかに生きるか、について書いた」と述べた。
 岸川さんは、物心ついてから三十七年間、「剣の道」を経験し続け(剣道七段)、両親にも武士道精神に基づいて育てられた、と信じている。特に、最近十数年は古武道の真髄を追求してきた。
 本の内容は、主として、現在ブラジル国内に三十二カ所ある二天武道研究所の支部・道場で、古武道の稽古のあと、生徒たちに十五分間話をした、いわゆる講話をまとめている。二天では、この十五分間を「オウロ(金)のような大事な時間」といっている。
 人に聞いたことを話しているのではない。岸川さんの、四十一年間の人生体験、例えば、人間関係はどうあるべきか、ストレスを溜めないようにするには、などが説かれている。岸川さんによれば、それは、現在、生徒たちの実生活に役立っている。「古武道の実践者向けではない。一般の人たちに向けたメッセージ。励むための本。人を啓発できれば、と思う。すでに女性たちもよく読んでいる」。
 岸川さん自身は、日本の高齢の古武道の宗家らとの交際をつとめて行い、学ぶ。訪日したり、招いてブラジルに迎えたりして、欠かさない。宗家たちに学ぶのは、(日本の)ガイドブックに書いてないこと、とその貴重さを強調。自身の血や肉になっている、といっている。今回の著書出版に際しても「日本の先生方に感謝しています」。
 『SHIN HAGAKURE』は、七千部出した。異例といえるほど、部数が多い。二天武道研究所の生徒たちの〃教科書〃になるのだろうが、それにしても多いのは、出版社が一般に需要があることを見込んだからだろう。出版記念会には「武士道」に常々関心を寄せるギード・マンテガ予算管理相やサンパウロ総領事館から渡辺領事が出席して、推奨のことばを述べた。すでに、国内の主要書店で販売されている。
 来年五月には、アルゼンチンのメンドサでスペイン語版が翻訳、出版される。同地には、すでに二天武道研究所の生徒がブラジルから里帰りしている。