茶道の普及に尽力=武田宗芳さん死去

10月5日(火)

 茶道裏千家ブラジルセンターを発足当初から見守り続けた武田宗芳さん(芳枝、享年九十歳)が、一日午後四時に老衰のため亡くなった。
 茶道の普及に尽力した生涯だった。ブラジルにおける初稽古が行われたのも、一九五四年に来伯した千宗興氏(第十五世家元宗室氏の若宗匠時代の名前)を武田さんの個人宅に迎えてだった。
 サンパウロ市以外の各地に茶道裏千家が広まったのも、武田さんの力によるところが大きい。ロンドリーナ、クリチーバ、アラサトゥーバ、リオ、グァタパラ、マリリア、バストスなどへ精力的に赴いた。「先生ほど、茶の普及のために方々へ足を運んでいた人はいなかった」という。
 九月二十二日から三十日まで、中南米茶道普及五十周年を記念した「裏千家淡交会中南米大会」に出席するためメキシコシティに滞在。ペルー、アルゼンチン、メキシコ、ブラジルの四ヵ国に茶室を開いた大宗匠千玄室氏(第十五世家元)より、直に五十年間の功績を称えられ表彰状と記念品を渡された。
 メキシコから帰ってきた翌日、武田さんはまるで眠るように永眠した。
 去る五月二十日にイビラプエラ日本館で行なわれた五十周年記念茶会にも杖をつきながら出席。高齢にもかかわらず文協での週二回の教室にも顔を見せる熱心ぶりで、尊敬を集めていた。
 五十年間を振り返りながら「お茶が好き。しかし続けることは難しい。みんながよく続けていて感心する」などと、生前よく話していた。