コラム 樹海

 米大リーグのイチロー外野手が安打を「262本」も打ちシーズン最多安打を記録した。これは一九二〇年にジョージ・シスラー選手の257本を5本も上回る大記録であり、小泉首相までもが「よくぞやった」と感服する。実に八十四年ぶりの新記録にファンは大喜び惜しみ無く拍手を送ってイチローを称えたのがいい▼それにしても、変則打者として一軍と二軍を行ったり来りのイチローがこれほどの大打者になると予測した人は少ない。この才能を見いだしのは元オリックス監督の仰木彬氏であり「イチロー」の呼び方も仰木監督の発案である。こうした期待に応えるようにイチローも頑張る。年間210本の日本プロ野球記録を作ったし、これが米ダイリーグ入りに繋がって行くのもおもしろい▼仰木さんも、イチローの晴れ姿を見ている。記録更新の安打もしっかりと心に刻みイチローに「おめでとう」と祝うと「ありがとうございます」ときちんと挨拶をする。日本には王貞治選手という大打者がおり本塁打数は引退するまでに868本という世界記録が輝いている。勿論、米ダイリーグと日本のプロ野球の違いはあるけれども、イチローの安打最多記録は、王の本塁打と並ぶ偉業と見たい▼運命というか。イチローの生誕は、ジョ―ジ・シスラー選手が生涯を閉じた73年というのも不思議な縁である。米ダイリーグの試合日程も終わって今はのんびりのイチローは「愛犬の一弓(いっきゅう)と散歩したい」そうだが、どうぞどうぞ―ゆっくりと楽しんで下さい。  (遯)

04/10/5