コラム 樹海

  日本の女子マラソンの実力は世界でもトップクラスだ。さきのアテネ五輪の野口みずきに次いで、ベルリン・マラソンでも渋井陽子が好記録で優勝した。五輪予選で敗れた選手(渋井)が、ほかの知名の国際大会で勝つというのは、層の厚さを示すものだ▼「日本の女性はいよいと強くなるな」と驚きの気持ちで眺めていたら、私たちのすぐそばにも、日本の強い女性が異質のマラソンで姿を見せた。サントスからペルーのリマまで南米大陸を走って横断するという人だ。阪本真理子さん、五十七歳、奈良県人▼「足が地についた、普通の主婦だ」という。そう表現したのは、取材で直接会った同僚の記者だ▼普通の四十二キロ余りのマラソンを何回も完走している。北米大陸やオーストラリア大陸も走った経験がある。こういう人は、いい意味で、目立つのが好きなのではないか、目立つことを活力源としているのではないか、と察したのだが、どうもそうでないらしい▼ブラジルでの歓迎は、まったく予期していなかった。つまり、オザスコ文協陸上ベテラーノ部が歓迎会をしたのも、サンパウロ州内のエストラーダに近い日系人の別荘が提供されたのも、そうする側の好意だった。その後は、プロミッソンの日系人から、旗を振って応援したい、と申し入れがあった▼当然のことながら、日系人のいない地方では、自炊、野宿を予定(覚悟というべきか)しているという。治安の悪さが一番気にかかるが、ぜひ無事にリマまで達してほしい。(神)

04/10/6