コラム 樹海

 サッカー日本代表(セレソン)のブラジル人監督ジーコが、ようやくというか、日本の評論家たちの一応の評価を得たようだ。〇六年ドイツW杯のアジア一次予選を通過したからである▼選手への指示も正統的で、放任に見えるが、自覚と成長を促し、サッカーでもっとも大切な「みずから考え、対応する力」を身につけさせた―。これまで、ジーコにはこういうホメ評価はなかった▼一次予選で敗れれば、無条件で監督の座を追われたであろう。辞めさせよう、とする動きは、過去何度もあった。自身に対する非難には、典型的なブラジル人のように声を荒げて反論した。詫びない国民気質を日本から離れたここサンパウロで(テレビなどで)観ていると、無責任だが、苦笑いがこみあげてくることもあった▼選手にみずから考え、対応する力を身につけさせた、というのは、日本のサッカーを国際的水準にした、と同義だ。サッカーは、試合が始まってしまえば、選手にすべてを委ねるしかない▼知的であるか否かの問題ではない。ハングリーのブラジル人選手にみるように、上にのしあがっていくために、子供のときからカンポでそうしてきたのだ▼日本代表は、過去の代表にないような逆風での強さを持つ、とまで称賛がある。そうだろうか。欧州の上位国や南米諸国の代表が対戦相手になったとき「とても、敵わない。結果はわかっている」などと、ブラジル在住のファンにも思わせないような地力を蓄えた代表になってほしい。(神) 

04/10/27