日本移民のふるさと=水郷レジストロを行く(3)=お茶の生産量減少=デカセギで1世代〃不在〃

11月9日(火)

 レジストロ日伯文化協会の山村敏明会長によれば、レジストロに住む日系人は、現在千百六十家族。しかし、その内、文協会員になっているのはわずかに三百四十名だという。
 会費は年間百五十レアル、という会長の言葉に、説明を聞いていたツアー客達から「それはちょっと高いねぇ」との声も洩れた。会員になれば、その分様々なサービスを無料で受けることができるので、実際にはそんなに高額ではないそう。しかし、多少とも取っ付きにくい金額であることに変わりはないようだ。
 会館二階には、県人会六支部と婦人会の事務室が設けられている。この新しい会館が、レジストロ日系コロニアの中核を担っているのだ。
 レジストロの産業といえばやはり紅茶を思い出す。しかし、現在は最盛期の年間一万二千トンに比べてわずか四分の一の三千トン。山村会長は、「バナナや商業が今は主ですね」と話した。
 日本へデカセギに行っているのが六百五十人。最近はだんだん〃永住型〃に移行。「一つの世代がごっそりいなくなってしまいます」と、ここレジストロでも後継者問題が深刻化していることを窺わせた。
 金子国栄文協広報部長の仕事っぷりは評判が高い。県連ツアーで訪れた、同じ新潟県、加茂農林高等学校出身の南雲良治さんも「将来の文協会長候補!」と太鼓判を押す。
 金子部長は、地元紙「ジョルナル・レジオナル」に「レジストロ灯篭流しの始まり」と題した文章を寄せ、灯篭流しへの参加を呼び掛けている。
 金子部長の文章によれば、灯篭流しは一九五五年、リベイラ川の水難犠牲者霊を供養するため、日蓮宗の石本恵明総長の法要とともに七基の灯篭を流したのが始まり。今では、先祖の霊の供養として石本妙豊師の法要とともに千六百基もの灯篭が流れる。
 石本妙豊師は、過去四十九回の灯篭流しを振り返って、「不思議とお祈りの時は雨が止み、追悼法要は一度も中止したことがない」と、金子部長に話している。
今年は曇り空ながらも、雨は降らない。「暑すぎず、風がなくて灯篭流しにちょうどいい天気」だそうだ。

つづく
   (大国美加記者)

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■日本移民のふるさと=水郷レジストロを行く(2)=初期移民使用の火のし=資料館で懐かしむ