コラム 樹海

  曽我ひとみさん(45)の夫チャールズ・ジェンキンスさん(64)に「禁固30日、不名誉除隊」の有罪判決が下った。言うまでもなく曽我さんは北朝鮮でジェンキンスさんと知り合い結婚した人であり、拉致の被害者である。ジェンキンスさんは在韓米軍の元軍曹だったが、脱走して北朝鮮に逃亡し利敵行為を犯したとして告発されていたのだが、予想を超える有利な判決を受けたのは真に喜ばしい▼本来ならば、終身刑の判決があっても、おかしくはない重罪である。それが―たったの一 月の禁固というのは、司法取引という制度を活用したにせよアメリカの恩情があったからと見たい。勿論、刑罰はきちんと受けなくてはならないが、罪の重さからすれば30日の禁固は夢のうちに通り過ぎる。それも座間基地での服役であり、曽我さんと二人の娘さんと一緒に日本永住を望むジェンキンスさんにすれば、それほどの苦痛とはなるまい▼北朝鮮での暮らしは厳重な監視もあったろうし、制約ばかりの日々であり苦痛であったに違いない。短くはあるが、きちんと過去を精算して禁固が解ければ思いっきり羽を伸ばし自由の尊さを満喫できる。曽我さんも長く日本を留守にせざるをえなかったので暮らしも決して「天国」とは申せないだろうが、一家の四人がみんなで頑張れば必ずや道は開ける▼日本からのニュースによれば、曽我さんも獄窓を訪ねジェンキンスさんを慰めているようだし、ご家族が夢に描いた楽しい暮らしも、すぐそこまできている。細田官房長官もアメリカ当局に感謝の談話を発表しているが、ジェンキンスさんも、ここは在日米軍司令官の配慮に感謝し犯した罪を反省し再起を目指してほしい。    (遯)

04/11/9