甲子園優勝チームを翻弄=日系ブラジル人選手投げて打って大活躍=神宮大会

11月18日(木)

 高校野球秋季地区大会で優勝した各地区の代表十校がトーナメントで秋の日本一を争う、第三十五回明治神宮野球大会が十三日から十七日まで明治神宮球場で開かれ、東北代表、羽黒高校(山形)の片山マウリシオ投手(二年)ら同高校の日系ブラジル人選手が大活躍を見せた。日本の各スポーツ紙が大きく報じた。
 一回戦シードで迎えた大会二日目(十四日)、片山投手は今夏甲子園優勝校の駒大苫小牧(北海道代表)を五安打三失点に抑え完投勝利。サンケイスポーツ紙は「甲子園優勝の威光も、地球の裏側からやってきたブラジル人留学生には通用しない」と絶賛した。
 片山投手はストライクゾーンぎりぎりの所にスライダー、カーブ、チェンジアップ、そしてストレートを突き刺し、打者を翻弄。試合後、「チェンジアップ、かなりよかった。調子、ベストに近かった。今の気持ち、頭のてっぺんまで来ています」と、片言の日本語を使い、興奮した様子で喜びを語った。
 「ストライクだけしっかり打ちました。優勝目指して頑張ります」と、語るのは日系と中国系のハーフ、中島ユン中堅手。ブラジル仕込みの豪快な振りで、同試合では四打数三安打二打点と全得点の半分を稼ぎだし、一年生ながら主砲ばりの活躍を見せた。「ブラジル生まれの核弾頭」(サンケイスポーツ)と、そのパワーに驚嘆した様子。
 翌十五日、準決勝戦で前大会優勝校の愛工大名電高校(東海代表・愛知)に三対二で敗れはしたものの、片山投手は三回から登板。残りを四安打、無失点に抑える好投を見せた。
 二人を子供の頃から知り、指導もしてきたパウリスタ野球連盟の沢里オリビオ会長は、二人の活躍を聞き「すごいね。うれしい」と声を弾ませ、「マウリシオは昔から光るものを持っていた。ユンは誰が見てもびっくりするような選手」と振り返った。
 同校野球部には現在、三人の日系ブラジル人選手が所属。彼らの活躍もあり来春の選抜高校野球大会への出場も確実視されている。
 沢里会長は「高校までは通用するが、プロではどうだろう。でも、プロに行ってくれたら嬉しい。頑張って」とエールを贈る。