南米柔道の拠点 誕生へ=日本政府「草の根文化無償」で資金協力=サンパウロ市の練習場施設を改修

11月20日(土)

 パウリスタ柔道連盟(フランシスコ・カルバーリョ会長)の練習場(イビラプエラ公園第二体育館、三百畳)が来年中ごろにも、日本政府の「草の根文化無償」による資金協力を得て、国内初の常設試合場「ブラジル柔道総合センター」に生まれ変わることが明らかになった。「ブラジルのみならず中南米における中心施設としての役割が期待されている」(石田仁宏サンパウロ総領事)。

 同領事館を通して「草の根――」が実施されたのは二年振り。約七万五千ドルまでが無償支援される。投げ技などによる身体へのダメージを軽減する緩衝材を畳下に敷く費用や、畳の刷新に充てられるという。
 「子供や女性などより多くの人に競技してもらえるようになる。投げ技も思い切ってかけられることから技術レベルの向上にも繋がる」と、全伯講道館有段者会(土肥隆三会長)の関根隆範さんは語る。連盟でも自助努力で観覧席、医務室、更衣室を設置するなど施設の充実を図る。
 計画は連盟と有段者会が協力して温めてきた。「練習場には世界各国から選手が来ていた。そこで、いつでも試合のできる場所にしようということになった」と、有段者会の岡野修平さんは説明する。
 今年三月にサンパウロ総領事館に申請。ソウル五輪金のアウレリオ・ミゲールさん(次期サンパウロ市議)などのメダリストを輩出してきた連盟の実績や、練習場がブラジル柔道の中心地として機能していたことなどが認められた。
 十七日、総領事館であった贈与契約署名式で、石田総領事は連盟の約半世紀にわたる活動を高く評価。「サンパウロにおける柔道の普及、国際試合を主催するなど柔道の国際交流を推進し、活動範囲はブラジル、中南米だけでなくヨーロッパまで広がっている」と称えた。
 これに対し、フランシスコ会長は「大きな信頼を得られ大変な名誉です」と返礼。アウレリオさんは「計画に費やした十年間の努力が今日実りました」と、喜びを語っていた。
 【草の根文化無償】
 文化・高等教育振興のために、開発途上国の草の根レベルで活動するNGOや地方公共団体などに対し、日本の在外公館が中心となって直接資金協力を行うもの。一件当たり一千万円が限度額。申請は11・3254・0100(同領事館広報文化班)。