移民百周年日伯総合センター=□セアザ近く元コチアの土地□総工費3千万ドル6階建て=きょう臨時総会で決議か=「説明不足」批判の声も

11月20日(土)

 ブラジル日本移民百周年の主要記念事業である日伯総合センターの「場所」と「施設内容」が、きょう二十日午後十一時からブラジル日本文化協会小講堂で行われる同祭典協会(上原幸啓理事長)の臨時総会で問われる。十九日午後、同協会事務局で行われた記者会見で、渡部和夫祭典協会顧問は「来年五月の大統領訪日を考えれば、ぜひこの総会で決議したい」と意気込んだ。
 記者団から「総会に出席する団体代表の中には、現地を見ないと判断できないとか、自分の団体に持ち帰って可否を決議したい人もあるのでは」との質問に対し、渡部顧問は「そのような声が多ければ、再度臨時総会を召集することもありえる」との判断を語った。また、その場に居合わせた菊池義治総務副委員は「もし写真や説明だけでは分からないという人がいれば、現地までバスで連れて行って決議するぐらいの配慮があってもいいのでは」とコメントした。
 というのも、候補地は、当初言われていたサンパウロ市パウリスタ大通り付近ではなく、ヴィラ・レオポルジーナ区のセアザ近くとなったからだ。ナッソンイス・ウニーダス大通りとケイロスF大通りが交わる角の土地、三万二千平米で、すぐ隣がパルケ・ヴィラ・ロボスやショッピング・ヴィラ・ロボス、ピニェイロス川を挟んだ対岸はジャグアレー区となる。
 土地の所有者はブラジル宝石協会(IBGM)で、同協会が第三者である不動産屋に土地を渡し、そこが建物を売る形で建設を進める。同宝石協会は従来からその土地を使った展示場開発計画を持っていたが、百周年の話を聞き、共同でやらないかと申し込んできたそう。
 実はこの土地は、もともとはコチア産組のものだった。清算時に競売にかけられ、同宝石協会が購入していた。
 総工費も変更になり、当初の七千万ドルから三千万ドルと半額になった。以前の計画では、日伯総合センター自体が二棟の巨大ビルだった。今回の新計画では二棟の商業ビルに挟まれる形で、六階建ての日伯総合センターが建設される。来年五月に建設を初め、〇八年に完成予定。
 同宝石協会が建設する予定の展示場の地階には、日本食レストラン八軒、フィットネス・クラブなどが作られ、その部分と総合センターが日系コミュニティの担当となる。渡部顧問は「それに加え、商業ビルの中の五フロア―分をコミュニティで購入し、総合センターの運営費に回したい」との希望を語った。
 もし、今総会で決議された場合、一年間の猶予をもって日伯で資金集めの目処をたて、それに合わせた規模で建設を進める。最低集金額は千七百五十万ドルで、これだと建物建築費用のみ。集金額がそれを下回る場合は、総合センターの四階より上に作られる千七百五十人収容の劇場を二期工事に回すことも可能のよう。
 それさえ集金できない場合は、との問いに、「その可能性はないと思う」と答えた。
 「日本側では、コロニアがバラバラでは出るものも出ないとの意見が出ている。コロニア全体への十分な説明がないまま、総会だけで決めもいいのか」との問いに、「コミュニティが一〇〇%賛成というのは無理。総会決議をもって、総意としなくては物事が進まない」と答えた。
 この建物が出来ることにより、どのように日系社会が活性化するのか、との質問に、「いちいち中身を考えていたら百年経ってもできない。祭典協会の法人を作るかどうかだけで三年もかかった。日系団体が同じ場所に集まれば活動が活発化するはずだ」と答えた。
 「もし、総会で承認されなかった時は?」との問いには、「他のプロジェクトを考えるか、このプロジェクトを批判した人に渡してやってもらうかだ。でも、そうはならないと思う」と語った。
 「今まで説明不足だった点は認めるが、土地が決まらない段階ではちゃんとした計画にならないので、説明するのが難しかったことは理解してほしい」と理解を求めた。