■ひとマチ点描■歌姫との浅からぬ縁

11月20日(土)

 21日午後3時からサンパウロ市の文協で、東京の劇団1980(いちきゅうはちまる)」によって、日本初の流行歌手、佐藤千夜子の生涯を舞台化した「素劇 あゝ東京行進曲」が上演される。
 同市在住の造形作家、豊田豊さん(73)は、その佐藤の顕彰碑(山形県天童市)の制作者だ。「同じ天童の生まれなことから私に要請があった。帰国して取組んだ思い出深い作品です」と振り返る。
 サクランボや将棋駒の生産で知られる町の中心、舞鶴山の裾に碑は建てられた。高さ6メートル、ドレミファ7音階を表す凹面が左右対にして立つ。間に挟まれた十字架は、佐藤がキリスト教徒だったことを物語っている。木型は天童木工、ブロンズ鋳造は銅町の西村製作所と、地元の伝統技術の結晶だ。
 完成は1977年7月。「ほぼ30年が経ちますね。ブラジルで彼女の人生を描いた芝居を観れるなんて。長生きするもの」と豊田さん。「彼女はイタリアで4年間、オペラを学んでいた時期があるそうです。私もミラノに5年いた。浅からぬ縁です」。 (大)