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コロニア不在に疑問の声=「2、3世のプロジェクト」快く寄付する人いるの?=「あれじゃ、砂上の楼閣だ」

11月23日(火)

 日伯総合センターの新施設内容と場所が二十八対三と、圧倒的多数で可決されたが、円満な決議であったとは言いがたい一面もあるようだ。今後のために、そのような声を拾ってみた。
 総会中いっさい議論に参加しなかった援協の酒井清一副会長(会長代行)は、最後の最後、おもむろにマイクの前に立ち、「承認したからといって、あそこに移転する訳ではないことを申し入れておきます」と語った。とても象徴的な一言だった。
 「総会の決議と、コロニアの実態や意識がかけ離れている」とは、ある傍聴者の感想。みんなを百周年に巻き込んでいこう、広く話し合いながら決めていこうという姿勢は、今回も見られなかった。十分な事前広報がないまま、執行部のプランが総会で決議され、既成事実がまた積み重ねられた感が強い。法律的には文句のつけようはない正式な決議だ。
 反対票こそ投じなかったものの、県連の中沢宏一会長はその苦しい胸のうちを、総会時にこう語った。「このプロジェクトは、二~三世の方が、いかにブラジル社会の中で活躍されているかの証拠だと思う。個人的に賛成するし、立派なものを作ってほしい。ただし、計画の文書には、日本に資金を求めると書いてない。百周年は日本を含めたものだと思う。二~三世の方のプロジェクトとしてはあれでいいのだろうが、我々一世が日本と一緒にやれるのような別のプロジェクトを作って二重構造にしたほうがいいのでは。とにかく、もっと一世の出番を作り、日本との関係を忘れないでほしい」と強調し、会場から大きな拍手が湧いた。
 渡部氏は「日本政府にもお願いするつもりだ。それを手伝ってほしい」と回答した。
 反対票を入れた五十嵐司氏(ブラジル日系老人クラブ連合会代表)は、「この建物に誰が入りたいと考えているか、前もってマーケティングすることが大事。今のところ、ジャグアレーへ移りたいという話はほとんど聞かない。ほんとうにこのビルは埋まるのか?」と疑問を投げかけた。
 ブラジル日本語センターを代表して反対票を投じた諸川友朋理事は、「よく研究された立派な構想だが、あの土地には反対だ。企業の商業プロジェクトに、みんなを引っ張り出そうとしているようだ。サンパウロだけでない日系コロニア全体が何を欲しているか、全伯の人が百周年に要望していることを、ここにいる人は無視しているようだ。コロニアから千七百万ドル集めようとしても、快く出す人はいないでしょうね。県人会が入ることはないでしょう」と発言した。
 総会では発言しなかったが、「理事すらも土地を見ていないのに、どうして巨額な投資を決められるのか?」と、反対票を投じた三人の一人、谷広海百周年副理事長(アラゴアス日本人会代表)は声を荒げた。「私は商売人としておかしいと思う。だってそうでしょ、ちっぽけなアパート買う時だって何回も見に行くでしょ、普通。私はプロジェクトの内容に反対している訳ではない。場所に反対しているんです。あれじゃあ、砂上の楼閣だ」。
 会員は微増しているが、いまだ赤字の同祭典協会。事務局長一人雇いたくても、財布の紐とよく相談しないと難しいのが現状だ。
 谷氏はいう。「五十レアルの会員を集めるのに四苦八苦している団体に、商業ビルを何フロア―も売れるのか?」。
 今後の日系社会はどうなっていくのか―。寄付以外で、全伯日系団体はどう百周年に参加できるのか―。基本的な議論がないがしろにされたまま、器(うつわ)優先の議論になっていないか、検討する必要があるかもしれない。
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