百周年費用は約百億円=記念4事業と式典など=百周年臨時総会 文協は2つに分裂か

11月25日(木)

 【続報】ヴィラ・レオポルジーナ区の三万二千五百平米を使って、共同開発で日伯総合センターを作る件が承認された二十日のブラジル日本移民百周年祭典協会(上原幸啓理事長)の臨時総会。百周年全体の費用が一億ドルと推計され、契約交渉のために新団体が創設される話があるなど、既報で伝えきれなかった重要部分を以下、詳報する。

 上原理事長は、「文協が日伯総合センターに移っても、この文協ビルがコムニダーデにとって必要な間は維持し、改善する」と何度も強調した。センターに移動する部署と、しない部署がでてくるようだ。これに対し、日本語センターの諸川友朋理事は「文協が二つになっても経費がかかるだけでは」と意見した。
 当日は地方団体の出席がほとんどなかった。唯一ともいえたのがノロエステ連合の白石一資会長だ。席上、「日伯総合センターは分かったから、優先順位二位の、我々のアラサツーバ文化センター構想はどうなるんだ?」と訴えた。
 渡部和夫補佐は、「記念四事業と、当日の式典など百周年に関わる全費用を一億ドル(約百億円)だと推計している。まずはセンターの目処をたててから順々にやっていこう。日本政府に支援を申し出る場合には、アラサツーバの分も含めてお願いするつもりだ。四事業を全て実現するには、日系社会の団結が必要だ。今現在はそうでない部分がある」と返答した。
 百周年だけあって百ミリオン・ダラレスとは、従来の周年行事とは二桁も予算が違うようだ。
 広島県人会の大西博己会長は「まるで〃夢〃のような話だ。入居する県人会は賃貸料を払うのか?」と尋ねた。設計した大竹ルイ氏は「目標としては無料だ」と語ったが、渡部補佐が割って入り、「建設には県人会の協力も必要。建設に協力した県人会が入ることになるだろう。その場所を買うのか、賃貸するのか、そういうことも含めて団体の姿勢が問われることになる」と答えた。
 その他、同祭典協会が今後交渉を進める場合に、新団体を設立する必要がある点も議論された。というのも、同祭典協会は定款により十年後には活動を終わらせることになっているからだ。開発計画に署名するには、より永続的な新団体を設立するか、定款を改正するか、という二つの選択肢がある。
 渡部補佐は「現在、文協法務委員会で検討中だが、個人的には、ルアネー法などに合わせた定款を持つ新団体を設立したほうが良いのではと思っている」と意見を述べた。
 交渉相手となるのは、宝石貴金属ブラジル協会(Instituto Brasileiro de Gemas e Metais Presiosos=IBGM)がヴィラ・レオポルジーナ区の土地を開発するために作った会社Brasil Convencoes社。
 来年五月のルーラ大統領訪日時に、ブラジル側から持っていくために、来年一月頃からブラジル外務省との打ち合わせをする必要がある、という。
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 来年五月に定礎式を行う予定の日伯総合センターの概要は次の通り。
 【地階】移民史料館を移設し四百席程度の中劇場。
 【一階】各種展示場、百五十人程度の小劇場、茶道や華道を披露する文化スペース、図書館、子ども向け科学展示、ハイテク技術ショールーム、カラオケ。
 【二階】可動式壁により四十八室に分かれており、全県人会が入れる。中央には全県人会が共同で使える事務員、共同会議室、事務機器などが設置される。
 【三階】ブラジル日本文化協会、ブラジル日本商工会議所、サンパウロ日伯援護協会、アリアンサ、インターネット情報室、他州や地方団体が使える一室で一フロア―を占める。
 【四階】この階以上はオーケストラ・ボックスがあり、能舞台にもなる、千七百五十人規模の大劇場。
 従業員は八十人必要で、人件費、物品費、税金その他合わせて月二十六万レアルの支出が見込まれるが、商業ビル部分の四フロア―を所有・貸し出しすれば、同額の賃貸料が入るので、それで充当する予定。
 なお、総会に先立つ「上級審議会」で、小原彰総務委員長の提案により、ホームページ作成が承認された。作成費用が三千六百レアルで、月々の経費が二百レアル。
 さらにブルー・トゥリーホテルの青木智栄子社長が祭典協会のイベント委員長を承認し、さっそく来年に向けて二つの大イベント立案に入っている、と小原委員長から報告があった。