政府とUSPでバイオ燃料開発=JBIC、大型融資か=対日輸出に期待感広がる

11月26日(金)

 今年一月にルーラ大統領が発表したバイオ燃料開発プロジェクトを中心となって遂行する開発センターが、サンパウロ州ピラシカーバ農大(USP)構内に設置される。センターは農務省と同農大の共同で、来年四月までの完成を目指す。このプロジェクトに対し、日本の国際協力銀行(JBIC)が千五百万ドルを融資する話も持ち上がっており、来年、ルーラ大統領の訪日にあわせて調印されるとの見方が強まっている。業界関係者の間では、ブラジル産エタノールの対日輸出に向け大きな弾みになると、大きな期待感が広がっている。
 十六日付エスタード紙のこうした報道に関して、同銀リオ支店の相川武利支店長は「現時点では連絡が入っていない」と否定。「具体的な数字までが出ているのは不思議」と首をかしげた。
 ただ、ピラシカーバ農大の堀井ジョージ教授(農業生産工学)はエ紙に対し、「ブラジル全土でいま二十のアルコール新工場建設中だ。日本市場に対応するためには百の工場が必要。さらに、新たに百万ヘクタールのサトウキビを栽培し、六十億リットルのアルコールを生産しなければならない」と述べ、日本政府からの融資や、対日輸出を念頭においたかのような発言がみられる。
 九四年に発効された温室効果ガス削減を目的とした『京都議定書』遂行のために、ドイツではすでに車両用燃料に二〇%のバイオ燃料を混入。バイオ燃料開発先進国であるブラジルでは、すでにガソリンに二五%のエタノールを混入している。
 ブラジル産エタノールは一リットル一七セントと世界で最も安い。これは米国産コーン油の同三〇セント、ヨーロッパで作られる砂糖大根を主原料にしたバイオ燃料は同五五セントする。価格面でブラジルは優位に立っている。
 ブラジルのバイオ燃料はすべて植物からつくる、大半はサトウキビが原料だが、面積あたりの生産量が高いのは、パーム油やデンデ油だ。肥沃で気候のよいブラジルでは、その地方に適したいろいろなバイオ燃料の生産が期待できる。
 ブラジル産エタノールの輸出は昨年が十億リットルで、今年は二十二億リットルを見込む。農務省砂糖・アルコール生産局のコレア・カルヴァーリョ局長は「〇五年のガソリン・アルコール両用自動車生産は全体の六七%に達し、国内でもアルコールの需要が急速に拡大している」と、エ紙の取材に答えている。