結束の意義 再確認=日系農協連絡協議会が第1回幹事会=財源なし「どう運営」=日本の農協中央会と連携へ

11月27日(土)

 南米二十二の日系農協で構成する南米日系農協連絡協議会(原林平会長)の第一回幹事会が二十四日、サンパウロ市の力行会会館で行われた。第五回日系農協活性化セミナーの開かれる「来年一月にはきちんとした形を示したい」(原会長)と、財源のない同協議会をいかに運営し、同セミナー開催などの事業を推進していくかが話し合われた。同協議会を日本や諸外国との交渉窓口として期待するなど、南米日系農協が結束する意義も再確認した。

 会議には九つの幹事農協のうち、ブラジルから四農協、パラグアイ、ボリビアから各一つの農協代表者が参加。同協議会の設立に関わっているJICAサンパウロ支所からも日系社会担当の村上ヴィセンチさんが出席した。
 協議会の目的は大きく分けて二つ。南米各地の日系農協や農業者、そして日本の農協などとのネットワークを作ることで、情報や研修機会の相互交換を行い営農レベルを向上させる。また、団結することでより大きな組織との交渉窓口となり、ビジネスチャンスを生み出すことも期待されている。
 しかし、将来的には「同協議会に力がついてきたら会費を徴収する」(同協議会役員)予定だが、同協議会は今のところ生産活動を行っていないため財源がない。
 「みんなの考えをお聞きして、今後の在り方をまとめ、来年の一月にはきちんとした形を示したい」と、原会長は財源を確保するまでの間、どのように同会を運営・事業を行うべきか議論を促した。
 同セミナーは営農普及対策事業としてJICAの全面的な資金援助で開始された。しかし、同事業は来年一月の第五回をもって終了する。一方、協議会は同セミナーを通じてネットワークを作ってきたことから、セミナーの開催を中心的な事業の一つと見なしており、議論は来年度以降どのように開催すべきかに集中した。
 「会費を取らない変わりに実費で参加するのはどうか」と、ブラジル農業拓殖協同中央会(農拓協)の近藤四郎理事長が提案。これに対し、「JICAに資金を出してもらえないとみんな集まれないんじゃないか」との声も上がった。
 サン・ファン農協の近藤勇総支配人は、「ボリビアのような農業後進国ではブラジルやパラグアイとの繋がりが欲しい。連絡を取り合いながらお互いの技術を高めていきたい」と、同協議会の存在意義を強調した上で「JICAの支援が終わるのは困る」と、村上さんに引き続き支援を要請した。
 JICAは協議会への支援を打ち切るのではと不安視されたが、村上さんは「(営農普及対策事業は)終了しますが、何らかの形で今後も支援していきたい」と、同協議会支援の方針を示した。
 原会長は、支援がない場合でも「組合員がお金を出し合ってセミナーを開催する」と語っている。
 基本的な運営資金については話が及ばず、当面の負担は代表幹事を務める農拓協がこれまで通り引き受ける見込みだ。
 同協議会では今年八月、日本最大の農協組織、全国農業協同組合中央会と連絡をとり、友好団体としての関係を構築したいとの返答をもらうなど、日本側との接触も始めた。
 また、久保田相談役は、同中央会と岐阜県とが食料供給協定を結び、「岐阜県と協力したことで同県の会社と個別に商談することができた。実際にいくつかの話しがまとまっている」と、日本との接触で実際にビジネスチャンスを生み出したことを説明した。
 来月の三日には同協議会ホームページの公開が決まっており、「早く出発させて軌道に乗せたい」と、原会長は意気込んでいる。具体的な成果を期待したい。