コラム 樹海
エイズ(HIV)は怖い。国連の報告によると世界で約四千万人の感染者と患者がいるという。この不治の病が発見されたときには、すぐにでも治療薬が開発されるの意見もあったけれども、あれから二十年になろうというのに未だに根治する薬はない。それでも開発は進歩しており延命効果が高い薬品が販売されているが、抜本的な解決にはまだまだ遠い▼エイズによる死者は今年だけで三百十万人。新たに感染したのが四百九十万人と知れば、この病気の怖さがわかる。初めの頃、この悪魔の病気はNYなど先進国で流行したものだが、最近はアフリカや東アジアでの感染が猛烈であり、このままでは「国が滅ぶ」と叫ぶ。ブラジルも防止対策を強化するなど政府も努力してはいるのだが、それでも約六十万人の感染者・患者がいる▼これは薬品の提供などの効果が大きいのだが、アフリカとなると悲惨な地獄図絵になってしまう。南アフリカは「HIV大国」として有名だが、すぐ近くのザンビアも悲劇の国である。領土が日本の約2倍。一千百万人近くの人々が暮らすこの国のHIV感染者は百二十万人。つまり人口の1割が、死の病に侵されているのである。成人人口(15―45歳)の感染率は21・5%にも達する▼勿論の事、死亡する人も多い。02年には約十二万人が死に追いやられているし、この悪魔の病気は勝手放題にのさばっている。国の平均寿命も32歳と余りにも短い。ここまでくればザンビアの人々が「国が滅ぶ」と叫び訴えるのも致し方あるまい。 (遯)
04/12/2