「あけぼのホーム」敷地内に付属病院新設なるか=医療費軽減がねらい=友好病院ベッド回転率も改善=調査チームすでに結成

1月6日(木)

 サンパウロ日伯援護協会(和井武一会長)は〇四年末、特別養護老人施設あけぼのホーム(グアルーリョス市、岸眞一郎ホーム長)の敷地内に長期入院患者用の付属病院(hosopital retaguardo)を新設する是非を探るため、医師など数名からなる調査チームを結成した。日伯友好病院(大久保拓司院長)の入院ベッドの回転率を改善させるとともに、医療費負担を軽減させるのが目的。あけぼのホームの医療レベルの向上も期待されている。
 友好病院では脳卒中や糖尿病などが原因で、長期の入院生活を迫られている患者が少なくない。中には、三年以上にわたる人も。病床は約二百三十床あり、昨年総合医療検査センターの竣工で回転率が緩和されたとはいえ、まだ不十分な状態だという。
 最も深刻な問題は、医療費の支払い。入院費は個室で日に二百五十レアルが基本で、医薬品、医師の往診料などがその都度加算されていく。
 医療保険の加入者は、保険会社が病院に費用を払う。入院期間が長期になれば保険会社の負担が増大するため、これまで数社から援協に、患者を付属病院に移送してほしいという要望が入った。
 付属病院は一般に、医師と看護士が常駐しているがCTスキャン、集中治療室、手術室などの設備が備わっていない。そのため、入院費は一般病院に比べて割安になる。ブラジル国内では、クリニカ病院がスザノ市に同様の病院を運営中だ。
 具志堅茂信援協事務局長は「高齢化社会を迎えると、例えば脳卒中で寝たきりになり、回復の見込みのない患者が増えてくるはず。その人たちの受け皿となる病院が必要になってきます」と付属病院の需要が今後高まっていくとみる。 
 あけぼのホームは、友好病院から救急車で十五分の距離に位置する。敷地内に未使用の土地が結構残っていることから、付属病院の建築予定地に推された。同ホームには、看護士が常駐しているが、医師は週に一回往診するだけ。あとは電話連絡で済ませている。
 具志堅事務局長は「医師がいると、老人ホームの入所者や家族も安心。それに付属病院の利益が上がれば、赤字解消にもつながる」と期待を込める。
 調査スタッフは、法律上の問題や必要な医療設備などを調べるほか、収支バランスのシュミレーションを行なうなどして結論を引き出す。また、入居希望者がまだ現われていない夫婦専用の住居を有効利用出来るかどうかも検討する考えだ。