コラム オーリャ!

  ぶらじる丸処女航海の同船者たちと日本留学・研修生OB会・ASEBEXのメンバーたち。彼らに共通しているのは、苦労話や失敗談を、懐かしい思い出の一部として消化している点だ。
 七、八回職を変えたと、同船会で泣きだす人。バスの乗り方が分からなくて恥ずかしい思いをした留学生。それぞれ苦い思い出はあるが、仲間同士で「あんなこともあった、こんなこともあった」と話すうちに気が紛れてくるのだろう。
 対照的に、昨年、四年間のデカセギを終えて帰国してきたある青年からは、言い知れぬ孤独を感じた。最初の三年は家と職場を往復するだけ。「自分は取り替え可能なネジにすぎなかった」との言葉には、怒りすら滲んでいた。
 同船会やOB会のような集まりが彼にもあれば、父親の祖国である日本に対する印象も、少しは違ったのでは、と思わずにいられない。 (国)

05/1/7