6時間にわたった熱演=藤間流日舞、新年踊り初め

1月12日(水)

 六時間にわたる熱演――。藤間流日本舞踊学校(藤間芳之丞、芳嘉会主)主催の、第四十四回「新春日本舞踊踊り初めの会」が、九日午後一時より文協大サロンで行なわれ、約七百人の観客が訪れた。藤瀬圭子さん(日本語)と江口桂さん(ポ語)の司会で進められ、普通科の若手からベテランの名取・師匠まで約四十人が、ステージ上で優雅な舞を披露。各部の合間に催された抽選会も好評だった。
 新春の舞「富士」で幕を開け、第一部・普通科、第二部・専攻科、第三部・名取「祝賀の色彩」の順でプログラムが進み、フィナーレは「踊る!踊る!!踊る!!!」と題して、出演者総出演で観客を楽しませた。
 特に、「四季の舞」で初舞台を踏んだ足立有夏里さんや、非日系のヘナン・フェルナンデスさんとパウロ・ベンドラミンさん、長唄「浦島」で第一部の取りをとった成宮ウーゴさんには、会場から温かい拍手が送られた。成宮さんは日系三世の十五歳。百八十センチ以上の長身を活かして、浦島太郎の物語を力強く演じきった。
 長唄、清元などの段物が大好きという尾崎慶子さん(61)は、今年で三回目の鑑賞。「三人の男性はおばちゃん方にも人気。背筋がしっかり伸びていて、音楽と踊りがピタッとはまる。日本文化に溶け込もうという姿勢が感じられた」と絶賛。成宮さんには「日本男児、期待の星」とエールを送った。
 名取の踊りはやはり圧巻。協力出演の藤間芳寿社中と藤間芳恵社中は、それぞれ長唄「梅が枝文売」と清元「うちわ売」を披露。藤間芳之丞、芳嘉両会主が大和楽「あすなろ」で堂々と取りを飾った。初めて来たという秋山君子さん(56、スザノ)は、長唄などにあまり興味がなく「踊りに込められた意味もよく分からない」と本音を漏らしつつも、「衣装や手の動き一つ一つに意味があるのだろう、と思うと感心する。特にブラジルにいる人たちがやっている所がすごい」と話した。
 最後に、芳之丞会主は、観客の来場を感謝し、「踊り手一同、手抜きをしないで一生懸命努めております」と挨拶して六時間の舞台を締めくくった。