拡がる「地産地消」の輪=コチア農学校=小農家への営農指導に成果=ジャカレイ市に刺激されたサンタ・ブランカ市

1月13日(木)

 サンパウロ州ジャカレイ市にあるコチア農業学校が近郊の小農家を支援するために二〇〇三年十月に始めた、無農薬栽培を基本とする営農指導が「小農家の会」を生み(本紙・〇四年七月二十三日報道)、ジャカレイ市内での直販活動も軌道に乗り、順調に動いている。「地産地消」である。これに刺激を受けたのがサンタ・ブランカの農村協会(シンジカット・ルラール)。ジャカレイと同様の進展を見せている。
 同協会の会長のエザエルさん(50)は、〇三年十一月初旬、コチア農業学校の問を叩いて、菅原エドワルド教官に指導を依頼した。まず、学校で育てている苗木を小農家に適正価格で提供することから指導が始まった。
 協会は八軒を最初の対象農家に選んだ。収穫した野菜と一部加工品を町の中心地近くの道路脇で、毎週・火曜日の午前七時から十二時まで直販することも決まった。
 サンタ・ブランカはジャカレイ市に隣接する人口一万四千人の閑静な町だ。サンパウロ市からリオデジャネイロ方向にアイルトン・セナ/カルバリョ・ピント街道を行くと、八十三キロ地点にサンタ・ブランカの表示がある。街道を右に下りて州道77号線を十キロほど進むと町の中心地がある。
 去る十一日(火)、五回目の直販市が立った。現場で市を見守っている農村協会会長は、この市をFeira Sabores da Terraと呼んでいる。「地産地消」そのものだ。生産者も消費者も地元たる所以だ。従来は毎土曜日に市が立ったが、近隣の町の農家が生産したものを大手業者が持ち込んでおり、必ずしも新鮮でなく、体にやさしい商品とはかぎらなかったようだ。
 この市に買いに来て四度目という五十代の主婦ルーデスさんは「無農薬だし、品物が良い。新鮮だしね。今までは店で買っていたが、これからはここで買うつもり」と期待を込めて話していた。
 生産農家の主婦で自ら売り子をしているファチマさんは「今までは自分の家で食べる分だけ作っていたけど、皆さんの期待に応えて作ったものが売れるのは嬉しい。牛を飼っているので、堆肥の材料が十分にあるので、無農薬にこだわっている。本当に健康的よ。作る野菜や果物の種類を少しずつ増やして、いずれはジャカレイにも売り込みたい。希望がどんどん湧いて本当に嬉しい!」と手放しで喜んでいた。
 「販売実習のため、コチア農学校にいるオイスカの南米農業研修生を交替で連れてきている」と話すのは指導している菅原エドワルドさんだ。小農家に対する営農指導を研修生の実習の場にも活用しているのはさすがだ。
 地元のラジオ局がこの市を広報で応援している。そ影響もあり、最初の市の売上は九十五レアルだったが、五回目で三百レアルを越えた(菅原指導員談)。現金収入は小農家の励みにもつながる。サンタ・ブランカに第二の「小農家の会」が誕生する日も近そうだ。この流れが第三、第四の小農家の会の誕生につながれば、地場で新鮮で健康的な食材が普及するようになり、農村に活気が出て、日本に負けないような「地産地消」運動になる可能性を孕んでいる。国際と地域でのコチア農業学校の役割が進んでいるようだ。