日本の財界トップが「国際日系ネット協議会」設立=海外日系人協会会長岐阜・梶原知事の構想実る=母国と日系同士の絆 強化へ

1月21日(金)

 日系人同士や日系人と日本人との交流を活性化させようと、日本の経済界トップらが任意団体「国際日系ネット協議会」を二十日に発足させることになったと、日本経済新聞が報じた。この協議会は、昨年十月に東京で開催された海外日系人大会で決議されたもの。「海外各地の日系社会をインターネットで結ぶグローバルな情報ネットワーク」とあり、日本を代表する経済三団体トップが後押しする形で、日系人の日本との新しいパートナーシップを築くものとして注目される。
 全国知事会会長を務める梶原拓・岐阜県知事(海外日系人協会会長を兼任)が、日本経団連の奥田碩会長、日本商工会議所の山口信夫会頭、経済同友会の北城恪太郎代表幹事に呼びかけ、発足にこぎつけた。日経新聞によれば、この四人が発起人に名を連ね、会長には坂本重太郎・海外日系人協会理事長がつく。二十日に発足し次第、直ちに企業会員を募ることになる。
 「今年秋にも日系人向けポータルサイトを立ち上げる計画で、就労情報などを掲載し、日系人を支援する」と同紙。各国の日系社会と日本とつなぐ役割と同時に、経済団体が従来から発言している、減少する日本の若年人口を補う外国人労働者の導入を結ぶ、新しい観点からの関係が模索されそうだ。
 梶原県知事は、〇三年九月十二日に全国知事会会長に無投票で選任され、慣例として海外日系人協会会長も兼任することになった。翌十月に岐阜県人会が県人移住九十周年・県人会創立六十五周年を行うにあたり来伯し、激務をぬって文協小講堂で「日本と日系社会との関わり」をテーマに講演会を行った。
 海外日系人協会会長就任二カ月未満だったにも関わらず、この時点ですでに「インターネットを活用して、海外日系人とのネットワークを構築する」主旨を述べていた。
 昨年、十月二十八日の第四十五回海外日系人大会の決議事項(3)には、「海外日系人協会を中心に、海外各地の日系社会をインターネットで結ぶグローバルな情報ネットワークの構築を目指す『国際日系ネット協議会』の設立に賛同すると共に、同ネットの構築を推進する。私たち日系人の声が母国日本につながり、海外日系社会と日本、そして各地の日系社会同士が相互にコミュニケートでき、パートナーとして、その絆をますます強化する体制を築く」とある。
 日経新聞によれば、経済三団体トップは五日、都内で年頭会見した時も、日本の少子化問題を最優先課題として警鐘を鳴らし、外国人労働者受け入れを含めた幅広い対応策が必要であると強調。
 中でも奥田経団連会長は、少子化による労働者不足への対応については、女性・高齢者の重用、情報技術(IT)の活用をあげたうえで、「それでも足りなくなるので、我々が提言している外国人労働者の受け入れは『王道』」との従来からの主張を繰り返した。
 二十三日には岐阜知事選が行われ、梶原県知事は四期十六年間を務め上げて退くというタイミングだった。この〃置き土産〃により、海外日系人協会会長としての任期はわずか二年余りであったが、経済三団体トップと共同で新事業を打ち出すなど、歴代会長とは一味違う、抜きん出た結果を残したと言えそうだ。