コラム 樹海

 「NHK番組」についての朝日新聞の報道を巡る問題は難しい。が、朝日新聞が記事にした安倍晋三、中川昭一両氏が、NHK幹部を呼び出して「放送の中止」を求めたというのは、どうも正確ではないらしい。安倍、中川両氏が否定しているし、NHKも記者会見し朝日新聞に厳重抗議して「歪曲の是正」を要求している▼勿論、朝日新聞は「報道は正しい」の態度を崩してはいない。どちらが「事実」なのかは目下のところ不明なのだが、「真実」の追及は最後まで続けてほしい。と―同時にNHKの報道姿勢も大いに如何わしい。あの番組は国内外の民間団体が主催し「女性国際戦犯法廷」を問題にし、いわゆる従軍慰安婦を取り上げたものである。この判決では日本国と昭和天皇が有罪という判決が下ったが、果たして報道の価値があったものかどうかは真に疑わしい▼この模擬裁判には、趣旨に賛同した人以外は入廷を拒否。しかも―弁護士もいないという変則極まるものだったという。こんな民間の怪しげな催し物を天下のNHKが報道する理由がいったい何処にあるのか。日頃からNHKの偏向報道には批判も多いが、この番組も左翼系が関与して製作したのではないか▼そして―朝日とNHKの大論争に発展する。双方の主張は火と油だけれども、この問題を「政治的な圧力」と最初に報道したのは朝日新聞なのだから、安倍・中川両氏が具体的にどう圧力をかけたのかを立証する責任がある。それをしないと―朝日新聞は権威を失い、報道の責任を負わないことになりはしないか。   (遯) 

05/1/22