コラム 樹海

  サンパウロ市制記念日の休日、リベルダーデ歩こう友の会の人たちと「カミニョ・ド・マール」(の下り)を歩いた▼海岸山脈の樹木と草の匂いを運んでくる風。賑やかな蝉の鳴き声。のんびり飛ぶトンボ。山襞を走る清流、それを受ける側溝から飛び出す蛙。道ばたはマリア・センベルゴーニャに代表される生命力の強い草花が咲き乱れている。ほぼ満開のマナカ、花びらが歩道に敷かれる。その上を歩く贅沢――こんな具合で時間を忘れさせられた三時間余だった▼サンパウロ州政府は粋なことをした。アンシェッタ、イミグランテス両道の開通にともない、サントスとサンパウロ市をつなぐ旧道(カミニョ・ド・マール)は使用されなくなった。これを整備して、環境保護、観光両面に活用しようと試みた。今、穴は一つもない▼カミニョはクバトン郡内にある。クバトンは工業都市だ。だから、役所の管轄は州エネルギー局である。観光局との力関係?が察しられて、ブラジルらしいと思う。エネルギー局は、カミニョの案内役を兼ねたモニトールを養成し、見学許可を与えた団体にぴたりと付ける▼歩こう友の会は、申請してから二週間後に晴れてカミニョを歩く許可を得た。許可と共にモニトールも来た。歩いた当日、歩くことを愛(め)でる一行に対して、ガイドするために歩行を止めるモニトールとの間で若干の意志不疎通が感じられ、おかしかった▼それにしても、友の会の着眼はなかなかのものだ。一層楽しい企画が期待できる。 (神)

05/1/28