大豆「オーロラ」にこだわる=ADESC一行も視察 イグアスー移住地の松永さん

2月8日(火)

 「オーロラを含めて非遺伝子組み換え(非GM)大豆の栽培にこだわっている。こだわっているからと言って、経営的なメリットがあるわけではない。大豆の価格は遺伝子組み換え(GM)ものと同じ。逆に、除草などに手がかかる。それでも、非遺伝子組み換えにこだわるのは(人体に)安全だから、でしょうかね」―と心境を語るのはパラグァイ・イグアスー移住地の松永真一さん(山口県出身)だ。 耕起栽培を始めて十九年になる。土作りの一環として、松永さんは木炭くずを畑に散布している。
 去る一月二十六日、ブラジル農協婦人部連合会(ADESC)の一行三十九名が松永農場を視察した。一行の一人、サンパウロ州ジャカレイ市の三好信子さん(岡山県)が炭くずの散布に特に関心を示した。夫の英雄さん(コチア青年)が、竹材を中心に炭焼きの熟練者だからだ。松永さんは三好さんたちを畑の中に案内して、炭と土が混ざっている現状を確認してもらった。
 「ブラジルのご婦人方の熱心さには驚いた。視察に団体の来訪を受けることがよくあるが、バスから降りない人がいつも数名いる。ところが、今回は全員が降りて、畑の中にまで入って、大豆の生育を確かめた方々もいた。本当に元気で熱心ですねー」と松永さん。
 その背景には、ブラジルで「大豆食キャンペーン」を推進しているADESCの誇りがあることも事実。
 ADESC副会長の玉腰豊子さん(愛知県)は、松永さんが非GM作物にこだわっていることに「すごく感動した」と言う。玉腰さんは手づくり味噌をフェイラなどで販売して好評を得ている。生産者としての責任の所在を明確にするために、袋に自分の名前と電話番号を記載している。松永さんのこだわりを教訓に今後は原料の購入にも「非GM大豆にこだわろう」と決意した。
 移住地で非遺伝子組み換え(非MG)大豆にこだわっている農家は、松永さんを含めて八戸で、栽培面積は二千八百ヘクタールだ。その中、オーロラ栽培面積は八百ヘクタール。農協組合員の総栽培面積一万八千五百ヘクタールに比較すると、小面積であることが歴然としている。
 ブラジル連邦政府が暫定措置としてGM大豆の栽培を認めたように、GM作物栽培が主流を占める傾向にあることは事実だ。GM作物が人体に無害か有害かはまだ解明されていない。
 これに対して、非GM大豆は無害、つまり、安全、なことだけは確実なのだ。中でも、移住地特産とまでいわれるようになった「オーロラ」大豆が高タンパク質含有で、味噌、醤油、豆腐、納豆などの食材に適した品種であることも確認されている。
 将来、栽培農家の意識がどう動くか予測はできないものの、移住地で非GM作物を選択する農家は、トウモロコシを一年栽培し、その後二年間、畑を休ませ、三年目から本格的に非GM作物を栽培することができるようだ。
 時代がどう進むのか、農作物も人間社会の動向に注目しているのかも知れない。松永真一さんらの役割も注目に値する。