コラム 樹海

  サンバと狂熱の踊りが終わった。俗言では―9月から10月になると産婦人科が大繁盛するの話だが、それもこれも溢れる情熱の落とし子とでも申すべきか。そんな予防にと政府は多彩なキャンペーンを張りお二人に気のきいた贈り物をするのだが、効果のほどは中々に難しい。エイズを防ごうの心積もりも込められているのだけれども、敵も然る者でこれまた侮りがたい▼南アフリカのマンデラ前大統領の息子がエイズで死亡したのは昨年の暮れ。独立を叫び刑務所に送られた南アの英雄・マンデラ氏は「恥ずかしいが、息子の死を語らないと国民はこの悲しみをわかってくれない」と訴える。南アは世界でも有名な「エイズ大国」であり、何の罪もない可愛い赤ちゃんまでが命を奪われている。これより悲惨な国がアフリカの最貧国・マラウイである。1時間に10人がエイズで死に追いやられるのだからにまさに悲劇だ▼この国の人口は約1100万人。うち100万人がHIVに感染しており、この状態が続けば「国が滅びる」。この地域はエイズが蔓延し予防対策を推進してはいるのだが、見るべき効果はあがっていない。安全国の日本でも感染者と患者は増えている。昨年はHIVが初めて1000人を突破し国民は驚いた▼85年に患者第一号が発見されてから昨年末で9784人が感染・患者になっている事実に目を向けたい。しかも、新規感染者(男669人、女79人)のうち、男447人が同性間の性接触により感染しているのはもっと注目されていい。    (遯)

05/2/10