従業員の半分が日系人=雇用始めて10数年もう100人を超えた――浜松のマルツ工業、石津社長視察に=工場長など管理職にも抜擢

3月5日(土)

 静岡県浜松市で、自動車やオートバイの部品のプラスチック塗装を専門的に行なっているマルツ工業有限会社の代表取締役、石津明次さんが去る二月二十八日、ブラジル視察のため初来伯した。「一度行かなきゃいけないと思っていた」と石津社長。同社では、十数年前から日系ブラジル人を雇っており、塗装、検査、箱詰めなどの作業を割り当てている。昨年には百名を超え、従業員の約半数を日系人が占めるまでになった。
 石津社長は以前から、「彼らの生まれ育った町、文化を見ておく必要がある」と考えており、今回念願の来伯となった。
 「日系人の従業員を、使い捨てのネジのように扱う企業が多いと聞くが、私は日本のスタイルでやっていきたい」と石津さん。給料の高低、残業の有無など表面的な労働条件や仕事の結果以上に、お互いが十分なコミュニケーションを取り合いながら、より快適に働ける職場づくりを重視するのが〃石津流〃。食事や飲み会に誘い、忘年会や慰安旅行にも参加してもらう。従業員主催のシュラスコ・パーティにも積極的に顔を出すようにしている。
 現在八名の日系人が工場長、製造課長、係長、リーダーなどの管理職に就き、精力的に働いている。従業員は、長くて十二年、最低でも三年勤続しており、デカセギを終えて帰国する人々も「帰ってきたら、またマルツで働きたい」と希望しているという。
 石津社長は、「うちは彼らがいないと回らない」と何度も繰り返す。今回の来伯をきっかけに、日系の従業員とさらに親密に付き合っていきたいと考えており、「いずれは、息子にブラジルに生活させてポ語を学ばせようか」との計画もあるようだ。石津社長は四日まで滞在した。