第1平野植民地90周年=みんなに伝えたい=「ちゃんと残っている」=戦後撮った無声映画も保存=7月の記念祭典で公開へ

5月31日(火)

 【既報関連】九十年コロニアを守ってきました──。通訳五人男の一人平野運平が創設し、民間人がつくった植民地で最古の部類に入る、第一平野植民地が今年入植九十周年を迎える。記念式典が七月三日に開かれ、墓参、法要、式典、祝賀会などが計画されている。山下従良・同農事文化協会会長(二世、70)、槙野勲元会長(二世、82)、佐道善郎ノロエステ連合日伯文化協会第一地区会長(二世、68)がこのほど、来社。コロニアへの思いなどを語った。
 「一九三〇年代の最盛期には三百家族が暮らしていた。今残っているのは、十四家族だけ」。山下会長は言葉少なめに語る。転居先の住所が分からない人も、少なくない。節目の年を機に、入植者の結束を固めたいと思いを込める。
 「コロニアがちゃんと残っていることを、入植者のみんなに伝えたい。そして、百周年につなげられるようにがんばりたい」。
 当初、マラリアや蝗で多くの被害を受けた平野植民地。今は果樹、サトウキビ栽培で生計を立てている。
 「平野氏は、三回呼んで初めて返事をする人だった。バウルーまで、薬を取りにいくなど結構苦労されたそうです」とリーダーの人柄を忍ぶ。と言っても、三人はいずれも二世。実際に平野氏と面識はなく、両親などから聞いた話だ。
 白馬を好んで乗っていたと言われる平野氏。先の大戦後まもなく撮影された無声映画が保存されていたことが、このほど分かった。 一時間三十分から二時間程度で、住居や橋などを再現して、入植当時の様子を伝えている。外部にはほとんど出されていないという。
 三十五ミリの撮影機が使われており、保管状態も良好。式典当日の上映が期待される。関係者は「弁士などと交渉して、間に合うように調整したい。開拓者の苦労を日系人たちに理解してもらえれば幸いです」と話している。