コラム 樹海

 最近、美術をやっている人から、邦字新聞は(日系人がからまない)美術展の案内記事が少ない、冷淡だ、伯字紙の翻訳でもいいので、掲載してほしい、と言われた▼小紙には、個人的に美術に関心を持ち、しかもくわしい記者もおり、ひところよりは美術、美術展関連記事が多くなっているのだが、そうした指摘を受ける▼実は、指摘は、美術分野だけでない。古典音楽関係もそうだった。そうだった、と過去形になったのは、もっと記事に扱ってほしい、と望む声が、最近、小さくなったせいである。実際には、ファンたちは大きな声で言いたいのだ、と思われるが▼古典音楽については、以前から「コロニアは不毛なんだ」といった乱暴な?話もあった。不毛というのは、演奏者も鑑賞する側も極めて少ないという意味だ▼それでは、ファンや愛好者が多いのは何だ、ということになる。つまるところは、イベントがあれば、まず「やる人」をより多く集めることができるカラオケ、社交ダンス、カラオケダンス、大衆日舞などの芸能、ゲートボール。その関連の記事を紙面に扱うのは、「多い」という判断からだ▼実は、毎日どの記事がどのくらい読まれているかを計るのは非常にむずかしい。反省を込めていうと、絵画展や音楽会のファンは少ない、と決めつけてかかるのはいけない。少ないから、記事に扱わないというのも理由にはならない。割くエスパッソは小さくても、案内記事は「日系外」でもせいぜい扱っていかねばと思っている。(神)

05/6/3