昨年来伯指導=律儀な棋士野月六段=B1組に昇級、昇段=祝いに扇子贈って来る

6月8日(水)

 プロ将棋の順位戦(毎日新聞社主催)で、昨年十月に来伯した野月浩貴六段(北海道出身、31)のB1組昇級と七段昇段がこのほど決まった。順位戦B1組の上位の組はA組。A組の一位が(その期の)名人への挑戦者になる。野月さんは、名人位に一歩近づいたことになる。この祝いに、ブラジル将棋連盟(中田定和会長)に、野月さんから扇子十四本と書籍四冊が贈られ、関係者を喜ばせている。
 扇子に綴られた文字は、「蒼穹」と「碧落」。「北海道育ちの私にとって、毎日見上げている青い空は、心に癒しや勇気を与えてくれる象徴。目には見えないけれど、きっとそこにある。はかなくても、勇気の持てる言葉だと友人が教えてくれた」。
 野月棋士は、今期、B2組で初戦を落としたものの、その後持ち直して九勝一敗で終えて、昇級・昇段を勝ち取った。B1組は森内俊之名人、羽生善治四冠、佐藤康光棋聖ら錚々たる棋士がいて、しのぎをけずっているA組に次いで上から二番目のクラス。トップクラスまで、あと一息だ。(その期の)成績が悪いと、ふたたびB2組に陥落するきびしい世界。初心を忘れずに更なる活躍を目指したいという。
 ブラジル将棋連盟の関係者らは、扇子の感触を確かめるなどして、同棋士の〃雄姿〃を偲んでいた。青木幹旺さん(71)は「この前、飛車角落ちだったけど、勝ったんだ」と誇らしげに語った。
 中田会長は「本当に、律儀な人です。早速、お礼の手紙を書きます」と話していた。