ブラジルとフランス=「人の写真」で交流=飯塚さん=マルセイユ訪ね撮る

6月9日(木)

 伯仏両国の民間団体が実施する交流事業のひとつである「オリャーレス・クルザードス」と題した写真展が、五月三十一日から開催されている。フランスからはブラジル日系社会の写真をムリエル・ジャンビーノさんが、ブラジルからは日系カメラマンの飯塚清秀マルクスさんがフランス移民社会の写真を出品した。初日にムリエルさんは参加できなかったが、約五十人が写真展に訪れ、関係者や友達が次々に祝福した。飯塚さんの両親も訪れ「言葉にできないけど嬉しいです。おめでとう」と写真展の成功を喜んだ。
 飯塚さんは昨年七月から八月にかけてフランス・マルセイユを訪れ、旧仏植民地のコモレス諸島(現・コモロ連合)から移住したアフリカ系移民の生活を〝人〟に焦点を当てて撮影した。
 一九八八年から趣味で写真を撮り始めるが、建築や景色ばかりカメラに収めていた。「人を撮るのが怖かった。恥ずかしい思いがあったり、撮ることを拒まれた時のことを考えてしまっていた」。しかし、飯塚さんの恩師に「写真に人がないよ。人を撮る練習をしなさい」と言われたことがきっかけで人を撮り始めた。
 フランスでは一生懸命ジェスチャーで「撮らせてください」と頼んだそう。人々は決して裕福ではないが「笑顔がとても印象に残っている。笑顔で私の心も明るくなったのが不思議だった」と微笑んだ。展示されている写真も人々の笑顔を写すことで、ささやかだが幸せな生活が伝わる作品になっている。
 写真展は十九日まで開催される。会場はサンパウロ市パウリスタ通り二〇七三番、コンジュント・ナシオナル内エスパッソ・クルトゥラル。