NHKドラマ「ハルとナツ」仕上げ中=放送スケジュール未定=ブラジル側協力に感謝 美術担当者たちを称賛

6月14日(火)

 NHK放送開始八十周年記念の大作ドラマ「ハルとナツ――届かなかった手紙」の製作スタッフは、今、放送時間六時間半という作品の、編集と音、音楽を入れるダビングを続け、仕上げに精魂をかたむけている。放送は(日本における)今秋の予定だが、日時のほか、五回分連日放送なのか、一週間に一回ずつなのか、スケジュールは決まっていない。
 既報のように、ドラマは、橋田壽賀子さんのオリジナル脚本。ブラジル移住者となった姉ハル、やむなく日本に残された妹ナツの七十年振りの再会をとおして、人間の生き方を壮大なスケールで描く。ハルを演じるのは、若い時代は米倉涼子、現在部分を森光子、ナツ役は仲間由紀恵と野際陽子。
 長い時間の流れを越えた日本人たちの絆をみつめ、「豊かさ」とは何なのか、そして「祖国」「家族」とは何なのかを問いかける。
 製作にあたって、「なぜブラジルなのか、なんで移民なのか」という意見もあったようだが、「ブラジルだから、家族の絆がより大切で、いっそう強まるのではないか、逆に日本が見えてくるのではないか」とテーマが少しずつ絞り込まれ、たどり着いたのがこのドラマだという。
 ブラジル日本文化協会(上原幸啓会長)が支援委員会をつくって活動した。本拠地となった東山農場をはじめ、多くの日系人の支援があった。例えば、エキストラを募集したところ、生後六カ月の乳児から百一歳の老移民まで、延べ千人近い人が、撮影に参加を希望したほど、高い関心が持たれた。特に二世、三世の申し込みが多く、時には早朝からの撮影のため、深夜にバスでサンパウロ市を出発するなど、ハードなスケジュールにも、楽しみながら参加しているようだった。
 美術で協力したのは、ヤマザキ・ユリカさんを代表とするブラジル人のアート担当陣。撮影用に道をつくってもらったところ、道の中央をふくらませるなど、普通は思いつかない、リアルに、使いこんだ感じの道をつくった。仕事へのアタックぶりは、日本のスタッフの間でも称賛の的だった。(神戸「日伯協会」会報『ブラジル』から)