文協50周年記念=歌に寄席=芸能公演各地で=中平マリココンサート=東京・浅草の本格寄席

6月14日(火)

 ブラジル日本文化協会五十周年記念イベントとして行なわれる一九日午前十一時からのドミンゴ・コンサート(文協記念講堂)に、昨年七月の同コンサートで大好評を博した中平マリコさんが出演する。ピアニストの矢崎愛さんとCDによる伴奏で、童謡からディズニー音楽、クラシックまで幅広いジャンルの歌を七カ国語で歌う。(入場無料)。
 文協音楽委員会(伝田英二委員長)が、「もう一度見たい」という前回の来場者の声を受けて昨年中から中平さんに出演を依頼。「ブラジルの印象は最高」という中平さんが快諾し二年連続の来伯となった。
 今回のプログラム二十七曲のほとんどは新しく用意されたもの。「何度来てもらっても楽しめるように」と滞在中のさまざまなコンサートのために九十一曲のレパートリーを準備してきたという。「昨年はブラジルに来た私のほうが皆さんから日本の心をもらいました。そこで軍歌を歌ったんです。とにかく歌が好きだから何でも歌います」と意欲を語る中平さん。
 昨年に引き続き伴奏を担当する矢崎さんは「中平さんは素晴らしく心のこもった歌を歌う方。私もただの伴奏でなく自分を出して弾くことを昨年のコンサートを通して学びました」と話す。「二人でステージの上でおしゃべりをするように思いやる心が大切」と意気投合の様子だ。
 中平さんは八月四日までの滞在期間中、ドミンゴ・コンサート以外にもコロニア芸能祭(二十五・二十六日)、弓場農場(二十九日)、マナウス(七月三日)、グァタパラ(七月十日)、イビウナ(七月二十三日)各地の日本人会館や日本祭り(七月十六・十七日)、地方文協との交流事業としてモジ・ダス・クルーゼス文協(七月三十一日)などで舞台に立つが、現在もパラグアイを含めた地方日系団体からの問い合わせが後を絶たず日程調整に忙しいようだ。なお、福祉団体への慰問活動は、ブラジル芸能協会の後援で、憩の園(二十一日)、サントス厚生ホーム(七月十三日)で行われる。
 ◇東京・浅草の本格寄席◇
 東京演芸協会のブラジル・イグアス訪問団(団長・はたのぼる東京演芸協会副会長)が今月十六日から約二週間、サンパウロやリオデジャネイロをはじめブラジル各地で公演、パラグアイではイグアスとコルメナ移住地を訪問する。
 この公演ツアーは日本政府文化庁ならびにCPRA(日本芸能実演家団体協議会・実演家著作隣接権センター)の助成を受けている。 訪問団は各地で日本の文化を紹介するとともに日系人の社会福祉施設への慰問も予定されており、ブラジル日本文化協会の創立50周年記念事業の一環としてとりあげられている。
 訪問団は団長のはたのぼる(尺八漫談)をはじめ、パーラー吉松(相撲形態模写)、上条充・福田久美子(江戸糸あやつり人形)の四名で構成されており、「江戸糸あやつり人形」は〇〇、〇二年にブラジルや他の南米諸国を訪問している。日本の寄席がブラジルで演じられるのは非常に稀だ。
 【尺八漫談】
 はたのぼるさん(78・福井県出身)は、世界で唯一のベジタブルミュージシャン。ホースや水道管、サツマイモや人参、大根などを楽器として演奏。今回はブラジルの一曲を用意する。
 八一年にイギリスで開催された「一芸名人世界大会」で第二位を受賞。最近では九九年、海外公演ツアーで人気を博した。
 現在は東京演芸協会副会長。日本演芸家連合会常任理事
 【相撲形態模写】
 パーラー吉松さん(50・福岡県出身)。
 頭にチョンマゲのカツラを乗せ、腰にはマワシを締め、お相撲さんに変身。過去や現在の力士の特徴をうまくつかんだ形態摸写で笑いを誘う。
 八二年に模写漫談として活躍し始め、若乃花や水戸泉などのマネは天下一品ともいわれている。
 現在は日本各地で出演、浅草「演芸ホール」や「東洋館」などに定期出演している。
 【江戸糸あやつり人形】
 上條充(50・北海道出身)、福田久美子(62・宮崎県出身)のコンビで、「かっぽれ」「酔いどれ」「獅子舞」「黒髪」の4演目を披露する。。
 江戸糸あやつり人形は江戸時代に生まれ、現在も幅広く活動が続けられている。江戸浄瑠璃の祖である結城孫三郎によって結城座が生まれたといい伝えられている。
 以後、糸あやつり人形は一般庶民の娯楽として人気を集めた。約三百七十年もの長い年月を経て、上條充が長年修行した結城座は現在でも伝統的な糸あやつり人形を継承している。