■ひとマチ点描■JICA=移民に救われた

7月7日(木)

 到着したばかりのJICA青年ボランティア21期生のひとり、タウバテ文協に派遣される池原千春さん(28=写真)からいい話を聞いた。
 実は彼女、6年前に初来伯した。ニュージーランド留学時に知り合ったカリオッカ女性から自信満々に「良い国だからぜひ来て」と言われ、「どんな国か見てみよう」とブラジル人女性の家にホームステイ。
 3カ月ほどいる間にホームシックに襲われ強烈な言葉の壁を感じ、「ボロボロになってしまいました」と思い出す。〃逃げ出す〃ように駆け込んだのがサンパウロ市の沖縄県人会本部。事務局に着くなり「知花さん知りませんか?」と尋ねた。何かあったら頼れと郷里で言われていた名前だった。
 事務局の男性は電話帳をガバッと開き、「うさきーな、知花せいや、まんどーるむんぬ(こんなにたくさん知花姓がいるのに)。まーぬ、知花やがや(どこの知花かな)」と言い、今時の大学生は何にも知らないとウチナーグチで説教を始めた。怒られているにも関わらず、あまりの懐かしさに思わず泣き出してしまった。
 結局、件の知花広繁さんの家まで辿り着くと、「いちまでぃん、うてぃしむんど(いつまでも居たらいいですよ)」と言われ1週間余り沖縄食を堪能、すっかり元気に。「本当に有難うございました」と心を込めた別れの挨拶をしたが、本人は「あたいめーやさ(あたり前だよ)」とそつなかったことにまた驚いた。
 「日本に帰ってから移民に興味がわきました」。今回、お礼の泡盛をたずさえ戻った。カリオッカ娘が言っていた事は本当だったと思い直しながら。  (深)