「40年間アニメ一筋」=石黒さん来伯会見=日本祭りで新作公開

7月15日(金)

 第八回フェスティバル・ド・ジャポン(日本祭り)がきょう十五日に開幕する。これに先立ち十四日、フェスティバルに合わせ来伯したアニメ製作会社「動画工房」の石黒育社長を迎え、国際交流基金サンパウロ事務所で会見が行われた。
 フェスティバル会場では十六、十七日の両日、同社の最新作「嘉兵衛の海」が上映されるほか、石黒さんの講演などが行われる。石黒さんは「四十年間アニメに携わってきました。夢中でやってきた、その経験を話したい」と抱負を語る。
 石黒さんの来伯は国際交流基金と総領事館が実施する文化人派遣事業の一環として企画され、サンパウロ市のアニメ専門店「アニマンガ」(永田翼代表)の協力で実現した。七十年代からテレビアニメの製作にたずさわってきた石黒さんは、TVアニメをはじめ「ポケモン」や宮崎駿監督スタジオジブリの諸作品など数多くの作品を手がけている。
 今回のフェスティバルでは同社の最新作「嘉兵衛の海」と日本のアニメ業界を描いた作品「くろみちゃん」などが上映されるほか、石黒さんによる講演や懇談会が実施される。
 「嘉兵衛の海」は、司馬遼太郎作「菜の花の沖」の主人公にもなった幕末の廻船問屋、高田屋嘉兵衛の生涯を描いた作品。文部科学省選定作品にも選ばれている。
 嘉兵衛は江戸時代に北海道開拓を手がけた先駆者でもある。会見に同席したアニマンガの永田代表は「ブラジルの日本移民の開拓をほうふつとさせるものがあると思います。三、四世の世代に日本に昔こういう人がいたことを知ってほしい。もちろん非日系のブラジル人にもみてもらいたい」と同作品を評した。
 「日本のアニメがこんなに世界的に有名になるとは思わなかった」と語る石黒さん。自身の作品について「日本文化を継承する作品を作りたい。『嘉兵衛の海』はその第一歩になったと思います」とその思いを語った。
 この日の会見には日本祭りに出演する歌手の井上祐見さんと中平マリコさんも同席。井上さんが日本の後藤博子参議員議員が日本祭り開催にあてたメッセージを代読した。
【日本祭り・アニメプログラム】(十六日)十時半=アニメ「銀河鉄道999」、十二時四十五分=アニメ「くろみちゃん」、十三時半=講演「漫画の歴史」、十四時半=アニメ「嘉兵衛の海」、十六時=講演「『嘉兵衛の海』について」、十七時=アニメ「くろみちゃん2」、十七時四十五分=アニメ「さよなら999」。(十七日)十時半=アニメ「ヤマト」、十二時四十五分=「くろみちゃん」、十三時半=講演「現代の漫画とアニメ」、十四時半=アニメ「嘉兵衛の海」、十六時=アニメについて懇談会(石黒育)、十七時=「くろみちゃん2」。