コラム 樹海

 G4の決議案成立があやしい。日本にとって常任理事国入りは悲願であり戦後外交の夢と云っていい。そのために外務省の大物を国連大使に起用し諸外国との折衝を進めたりもした。町村外相は世界に駐在する大使らを東京に呼び「常任理入りに全力を」と檄を飛ばした。外交攻勢の焦点はアフリカでエリート大使らは力の限りを尽くしたに違いない。だが―である。アメリカの反対を予測できなかったのは、どうしたことか▼米は日本の常任理入りは支持しているけれども、ドイツには真っ向から反対。日本とG4が頼みとするアフリカも独自の方針を打ち出して提案しているし、真の友好関係とは遠い。勿論、調整の可能性は高くG4との一本化もありうる。このようにー諸外国との見解の相違や外交情勢について日本は余りにも疎いのではないか。外務省の情報収集能力の弱さは今に始まったものではない。その弱点を露呈したのが、今回の情けない騒ぎと云える▼G四の決議案を採択するには加盟国の三分の二(128ヵ国)が必要なのに今、G4を支持するのは「約100ヵ国」に過ぎない。国連での採決は20日頃と見られるが、これから30ヵ国近くの賛成を取り付けるのは至難ではないのか。それもこれもアフリカ諸国の動静如何によるのだが、G4決議案との調整が成功すると断定はできない▼米露中はG4決議案に反対でありその影響力は大きい。米の反対演説を聞いて「失望」と語る大島大使のていたらくでは、とにかく危なっかしい。    (遯)

05/7/16