JICA=すみ分け図り効率化へ=サンパウロ市支所は日系向けに特化=ブラジリアでは技術協力を=「事業規模変わりなし」

2005年7月27日(水)

 国際協力機構サンパウロ支所の技術協力班が八月一日から、ブラジル事務所(ブラジリア)に移ることになった。事業の効率化を図るのが狙い。同支所は、日系人向けに特化。ブラジル事務所管轄の日系人事業を引き継ぐことになる。これまで通り支所との位置付けで、小林正博所長が支所長を兼任。ブラジル全体の事業規模も変わりないとしている。
 関係者によると、同支所管内で技術協力案件を進める場合、ブラジル事務所経由で関係機関とコンタクトをとらなければならない。業務をスームスにさせるためには、ブラジル事務所が一括して扱うほうが、無駄を省けると判断した。
 「同じような業務を、ブラジリアとサンパウロに分けてする必要はない。決して後ろ向きなものではなく、それぞれの特長を生かせるはず。我々にとって、ベストな選択だと思っている」(関係者談)。ブラジリアは「技術協力」、サンパウロは「日系人事業」とすみ分ける考えだ。
 技術協力班の班長(駐在員)と現地スタッフ一人がブラジリアに異動。この駐在員の後任は、今後ブラジリアに派遣される。
 日系人事業は大きく分けて、ボランティアの派遣、日系研修員の受け入れ、助成金事業、第三国専門家派遣の四つ。サンパウロ支所は、サンパウロ、パラナ、南マット・グロッソ、マット・グロッソ、サンタ・カタリーナ、リオ・グランデ・ド・スルの六州をカバーしている。
 八月から、管轄地域が全伯に広がるわけだ。むしろ、仕事量は増える。とりあえず、内部の職員を調整して対応。「職員を増やしてほしいと、要望している」という。
 支所内に新たなスペースが生まれることに伴い、日本のNGO(非政府組織)、地方自治体などに、ブラジルの社会事情や各種NGOの存在について情報を提供していくために昨年開設した、「NGO─JICA ジャパンデスク」(パライゾ区)を移す予定だ。
 コロニアには、聖支所が縮小されていくのではないかという懸念の声も聞かれる。これに対して、同支所は否定。「もちろん、日系人事業も評価の対象になっている。あくまで、業務の調整。事業規模は全く変わりません」と話している。