コラム 樹海

 野口聡一さんら七人を乗せた「ディスカバリー」が宇宙へと飛び立った。女性船長・アイリーン空軍大佐を「素晴らしい」と称賛するローラ米大統領夫人も発射基地を訪れ見学するほどの力の入れようである。そこにはコロンビアの惨劇を乗り越えるの強い意志があったに違いない。だが―打ち上げのときに恐れていた不安が発生する▼燃料タンクから断熱材が剥離し落下したのである。幸い、破片が機体に衝突しなかったが、もし―当たっていれば悲劇が再演された。あのコロンビア事故も、断熱材が剥がれ小型トランク位の断片が機体に当たる不幸であった。打ち上げの責任を持つ米航空宇宙局(NASA)は「飛行と帰還に影響はない」と、してはいるが、本当に大丈夫なのか。今はただ8月7日の無事なる帰還を祈るのみである▼勿論、NASAは事態を重く見ており、シャトル飛行を当面凍結すると発表し原因の調査も進める。元々、今回は打ち上げの前に断熱材が剥落し原因究明に当たったけれども、どうして落ちたのかの理由はわからなかった。このために批判があったのも事実である。こうした不祥事があったのだが、今、順調に飛行するディスカバリ―の活躍も目立つ▼宇宙ステ―ションとドッキングし、物資の搬入や機器の交換も見事にやり遂げている。これからのことなのではっきりとはしないが、野口聡一飛行士が広大な宇宙の空間をゆっくりと飛ぶ―。そんな野口飛行士の宇宙遊泳の勇姿を期待したい。(遯)

05/7/30