コラム 樹海

 郵政公社幹部への「袖の下」が、これほどの大事件になると想った人は少ない。しかも、あの決定的な画像が隠し撮りで原像が週刊誌に流れるの謎もある。この小さな金銭のやり取りを政界がひっくり返るようなスキャンダルにしたのはPTBのジェフェルソン前党首の爆弾証言であり、政界は大騒ぎになる。「裏金疑獄」とされる―この悪臭漂う怪事件でブラジリアも混迷へ▼ジ証言の影響は大きい。ルーラ政権の実力者ジルセウ官房長官が辞職に追い込まれ具志堅長官は降格。この疑獄と関係があるのかは不明ながらPT総裁のジェノイーバ氏も退任しているし、閣僚の入れ替えも激しい。これほどの騒乱になれば、庶民的な人気抜群のルーラ大統領も好きな外遊ばかりもしてはいられない。ニーマイヤーの傑作・プラナウト宮に座して「悪は摘発する」と語るのだが、どうも弱弱しく力がない▼と、ここまでの動きだけならば、まだ話の筋はおぼろげながらも解る。政権安定のため他党への裏金―は、許されることではないが、まあ、よくある悪弊として理解できないわけでもない。しかし、ここへヴァーリオ氏のような実業人が出てきて何百万や何千万レアルとかの話が国会で証言されたり、ドル屋が海外送金もあったとかになると、複雑怪奇になって意味不明▼この国に汚職は多いが、今回のような規模が大きいのは珍しい。大統領弾劾の話も浮き沈み「ルーラ退陣」を迫るデモも活発化しているし―この「疑惑」の締め切りには、しばらく時間が掛かりそうだ。   (遯)

 05/08/23