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第36回コロニア文芸賞=小野寺、野澤両氏に

2005年9月22日(木)

 第三十六回コロニア文芸賞(文協コロニア文芸賞委員会主催)の選考会がこのたび行なわれ、本紙ニッケイ歌壇の選者小野寺郁子さんの文集『ときおりの章』と、野澤今朝幸さんの自分史『草原』が受賞した。
 昨年七月から今年六月までに応募された作品で規定を満たしていた十五編の中から選ばれた。六人の選考委員が四回の会議を経て、八月十八日に決定された。
 遠藤勇選考委員長によると、『アチバイア文協50年史』も最後まで争ったという。また、最近の傾向としては「応募者にも徐々に戦後移住者が出てきており、今後にもつながるだろう。作品では自分史が増えている」と話す。
 『ときおりの章』は随筆二十二編、短歌百七十八首、翻訳二編、小説三編が収められた文集で、昨年刊行された。小野寺さんは一九三〇年愛知県生まれ。三九年チエテ移住地に入植。七〇年サンパウロ市へ。九四年にパウリスタ新聞歌壇選者、九八年からはニッケイ歌壇選者。また『椰子樹』選者も務める。
 一方、自分史『草原』で受賞した野澤さんは長野県出身の七十三歳。コチア青年単独移住(一次十回)で一九五七年に来伯。サンパウロ市在住。来伯してからの記録だけではなく、満州暮らしや戦後日本での波乱万丈の生活もつづった。文学賞に応募するのは初めてだったという。
 授賞式は十月下旬予定。なお、コロニア文芸の振興と、愛好者の交流の輪を広げる目的で、入賞には達しなかったが優秀な作者や編集者、またコロニア文芸振興に尽くした五、六人を選び、授賞式後の懇親会に招待する。

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