民謡の魅力広めたい=うた祭り=来年1月=日本から尺八名人も

2005年12月20日(火)

 それぞれが所属する会の垣根を越えて、全国から民謡の優秀歌手が一堂に会し出演する「第一回民謡うた祭り」が来年一月にサンパウロ市で開催される。
 主催はブラジルで唯一の尺八奏者の団体、小路(こうじ)流民謡尺八道ブラジル支部。これが設立後初の主催イベントになる。
 当日は日本から「NHKのど自慢」への出演でも知られる尺八伴奏の名人で、小路流三代目家元の松本晁章(ちょうしょう)氏を特別ゲストに迎える。
 関係者は「会を超え歌手が集まるイベントはいままでありそうでなかったこと。出演者は松本先生の伴奏で歌っていただく。歌手冥利に尽きるものと期待している」と話している。
 愛好者の高齢化に伴い、民謡伝承の危機が叫ばれる昨今、その魅力を幅広い層に知ってもらいたいとの意図が企画の背景にはある。
 ブラジル初の尺八奏者の集まりである同支部の発足は二〇〇三年一月。メンバーは十三人のみだが、「良い伴奏者のところに良い歌手が育つ」と、技術向上と伝承普及に励む。
 今田智明支部長のほか、同会メンバーの松田茂さん、塩野彰さん、篠原俊巳さんが案内のため来社、意気込みを語った。
 今田支部長が日本民謡協会、松田さんが郷土民謡協会、塩野さんと篠原さんは日本民謡同志協会の各ブラジル支部に所属していることから、「垣根を越えた民謡の祭典」が今回のイベントが実現したと説明。
 祭りには各会を代表する歌手四十五人が出演予定で、サンパウロのみならず、プレジデンテ・プルデンテやパラナ州のマリンガ、クリチーバなど遠方からも駆けつけるという。
 また、松本名人について、「既に六回ほど来伯されブラジルの民謡事情にも熟知されている」とし、「滞在期間中はいろいろご指導してくれると思う。次世代を担う歌手の歌唱力向上のためにも、伴奏者の増強と技術向上が不可欠。これを機会にいっそう切磋琢磨したい」と四氏は口をそろえて語り、イベントの成功に意欲を見せた。
 一月二十二日、宮城県人会(リベルダーデ区ファグンデス街152)で。開演は午前九時。