「よいしょ」に歓声も=35回目の餅つきにぎわう=東洋人街

2006年1月4日(水)

 昨年の大みそか、サンパウロ市東洋人街の中心リベルダーデ広場で恒例の餅つきが催された。「よいしょ」。赤いはっぴを着た男性が威勢のいいかけ声を発し、石うすの中の餅に力いっぱいきねを振り下ろすと、見物客から歓声が上がった。
 リベルダーデ文化福祉協会(ACAL、池崎博文会長)の主催。つきたてのもちは特設テーブルに運ばれ、毎朝広場でラジオ体操を踊っている「ラジオ体操会」のメンバーの婦人ら約三十人がちぎり分けた。
 店名が白く抜かれた赤や黄色ののぼりが並んだリベルダーデ区の商店街。餅つきは午前九時にスタート。広場には南米神宮の茅(ち)の輪が置かれ、新年の無事を祈願しながらくぐった見物客は、協会関係者から紅白の餅が入った袋を受け取り、「フェリース・アーノ・ノーヴォ」などと声をかけ合っていた。
 関係者によると、今年はもち米十三俵分に相当する六千袋が配布された。
 東洋人街の大みそかの風物詩として定着したこの餅つきは今年で三十五回目。
 池崎会長はあいさつで、餅米を提供してくれたサンパウロ総領事館や文協、県連、援協など各日系団体の名を挙げて感謝。「当初は五俵ほどで始まった行事だが、今年は多方面から寄付があり十三俵。いまやリベルダーデの行事というより日系コロニアの行事になった感がある」と述べた。
 さらに、援協の酒井清一会長、文協の小川彰夫副会長、野村アウレリオサンパウロ市議、JICAサンパウロ支所の石橋隆介次長、ロメウ・ツーマ上院議員があいさつ。日本酒が配られ、下本八郎元サンパウロ州議の音頭で乾杯した。
 また、池崎会長は、昨年杵三本を協会に寄贈した井上凱弘さん(83)=ミナス・ジェライス州カンブイ=を特別表彰。井上さんが所属する南ミナス文化体育協会関係者が代理で記念プレートを受け取った。
 毎朝バスで広場のラジオ体操に通っている二世の下川ミツエさん(87)=ヴィラ・マリア区=は作業に初めて参加した。「とても懐かしかった。移住地で暮らしていた頃を思い出した。父だけでなく、母も私も餅をついたもの」
 餅つきの後、来ひん、関係者らは協会事務所が入居する近くの東洋文化会館へ移動。例年通り、協会婦人部手作りのお雑煮が振舞われ、大勢の日系人もにおいに誘われて集まった。
 会場では「一月一日」や「アーノ・ノーヴォ」「ブラジル移民送別の歌」そして日ブラジル歌を合唱。餅入りのお雑煮に舌鼓を打った。