コラム 樹海

 近ごろは「ウーン」と唸ってしまうことが多い。サンパウロで開かれるゲイの大会には120万人もが何処からともなく集まってくる。夫々がかなり濃い化粧をするし衣装も派手だし、テレビ見学ながら唯々驚いている。勿論、カトリックや仏教もイスラムも公認はしていない。それでも同好の士は増えているのだろうか。最近は「性の自由」とかで堂々と意見の開陳もする▼日本でも熱心な輩がいるらしく、小学校に押しかけて幼い子に「ホモとレスビアンの講義」をする情熱家もいるらしい。そんな暇があるなら「漢字の一つでも教えろ」と申したいが、あの大英帝国ですらが「同性婚を認める」時代である。昨年の暮れに法律が施行され何と700組ものカップルが誕生したそうだ。そんな中に人気歌手のE・ジョンさんがいる。「奥さん」というか「妻」は、カナダ人の男性デービット・フアーニッシュさんである▼それが教会で挙式し大喜びでご満悦なのは、本人の好みなのでいいとしても、熟年組の遯生にはやっぱり気が引ける。ローマやギリシャの頃も盛んだったし―その歴史は古い。日本でも衆道と云い戦国時代には大いに流行した。江戸になると、若衆道になり若道とも呼ばれ古川柳によく詠まれ本にもなって愛好家はかず限りない▼陰間茶屋も繁盛したし、好きものはいたが、世間の主流になることはない。あくまでも、裏側の世界であり大道を闊歩するものではない。それが今やパウリスタ通りを姦しく行進し豪華な結婚式で人々をびっくりさせる。やはり遯生には「ウーン」と云うしかない。      (遯)

 06/01/10